ウソ?ホント?検証ウソ

「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は根拠なし。本当に近視と関係していたのは"外遊び"だった

「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は根拠なし。本当に近視と関係していたのは"外遊び"だった

読む前に予想してみよう!

暗い部屋で本を読む習慣があると、視力が永久に悪くなる

研究カード(どんな研究?)
対象
子ども(中国・台湾など)
規模
約1,900人のRCTほか
研究の種類
ランダム化比較試験+メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

暗い所での読書は目が疲れるが、視力を永久に悪くする証拠はない。近視との関連が報告されているのは、近くを見続ける時間の長さと、外で過ごす時間の短さだった。

ひとことで言うと暗い所で読むと目は疲れる。でも、それで目が悪くなるわけじゃない!

もくじ
  1. 暗い所で読むと「疲れる」けど「壊れない」
  2. 近視の正体:目玉が「前後に伸びる」
  3. 関係がはっきりしていたのは「外で過ごす時間」
  4. 「近くを見続けること」も関係あり
  5. なぜ「暗い所=目に悪い」と言われたのか
  6. まとめ

「そんな暗い所で本を読んでたら、目が悪くなるよ!」

布団の中で懐中電灯をつけてマンガを読んでいたら、親にこう叱られた――そんな思い出がある人も多いのでは。

この注意、じつは医学的な根拠がほとんどありません。ただし「だから目は大丈夫」と安心していいかというと、話はもう少し奥が深いのです。

01暗い所で読むと「疲れる」けど「壊れない」

暗い所では、瞳孔が大きく開き、目のピントを合わせる筋肉もがんばって働きます。また、細かい文字に集中するとまばたきも減りがち。だから目が疲れる、乾く、頭が痛くなるといったことは起こります。

でもそれは一時的なもの。休めば元に戻ります。

02近視の正体:目玉が「前後に伸びる」

では、そもそも近視はどうして起こるのでしょう。

近視の多くは、目玉(眼球)が前後に少し長く伸びてしまうことで起こります。長くなると、遠くからの光のピントが網膜より手前で合ってしまい、遠くがぼやけるのです。

一度伸びた眼球は基本的に元に戻りません。だから近視は「疲れ」とは違い、体の形の変化なのです。

03関係がはっきりしていたのは「外で過ごす時間」

眼球が伸びる原因として、遺伝に加えて注目されているのが生活環境です。

台湾でも、休み時間に子どもを教室の外に出す取り組みで近視の発症が減ったという報告があります(Wu ら 2013)。屋外の明るい光が、眼球が伸びすぎるのを抑えているのではないかと考えられています。

明るい屋外で過ごす時間が、近視を防ぐカギかもしれない
明るい屋外で過ごす時間が、近視を防ぐカギかもしれない

04「近くを見続けること」も関係あり

もう1つの要因が、本やスマホなど近くを長時間見続けること(近業)です。

子どもを対象にした研究をまとめたメタ分析では、近業の時間が長い子ほど近視が多い傾向が見られました。ただし関連の強さはそれほど大きくなく、研究によってばらつきもあります。

ここで面白いのは、問題になりうるのは「暗さ」ではなく「近さ」と「長さ」だということ。明るい部屋で何時間もスマホを見続けるほうが、薄暗い部屋で少し本を読むより、目にとっては気になる習慣かもしれません。

05なぜ「暗い所=目に悪い」と言われたのか

暗い所で読むと目がしょぼしょぼして、「目に悪いことをしている」感覚がはっきりあります。その体感から、「疲れる=悪くなる」と結びつけられたのでしょう。

それに、近視の子は本好きなことが多い。「本ばかり読んでいるから目が悪くなった」と見えやすかったのも一因かもしれません。

06まとめ

  • 暗い所での読書は目が疲れるけれど、視力を永久に悪くする証拠はない
  • 近視は眼球が前後に伸びることで起こる
  • 近視を防ぐ方向の証拠があるのは外で過ごす時間。近くを長時間見続ける習慣にも注意

子どもには「暗い所で読むな」より、「たまには外で遊ぼう」のほうが、目のためになる声かけかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany of us were told that reading in dim light would ruin our eyesight. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many of us were told that reading in dim light would ruin our eyesight. However, the American Academy of Ophthalmology says that reading in the dark does not damage the eyes. It can cause tired eyes, dryness or headaches, but these are temporary.

Most myopia happens when the eyeball grows slightly too long from front to back. This change is usually permanent, so it is different from tiredness. In a 2015 study in China, about 1,900 first-grade children were followed for three years. In schools that added 40 minutes of outdoor activity each day, about 30 percent of children developed myopia, compared with about 40 percent in other schools.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

私たちの多くは、薄暗い所で本を読むと視力がだめになると言われてきました。しかし、米国眼科学会は、暗い所での読書は目を傷めないと説明しています。目の疲れや乾き、頭痛が起こることはありますが、それらは一時的なものです。

近視の多くは、眼球が前後に少し長く伸びすぎることで起こります。この変化はふつう元に戻らないので、疲れとはちがいます。2015年の中国の研究では、小学1年生約1900人を3年間追跡しました。毎日40分の屋外活動を加えた学校では、近視になった子どもは約30%で、ほかの学校の約40%より少なかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. In the 2015 study, about what percentage of children in the schools with extra outdoor activity developed myopia?

Q3. How is myopia different from eye strain?

重要単語

  • myopiaC1
    名詞近視Myopia is becoming more common among children. 日常語では short-sightedness / nearsightedness。形容詞 myopic は「近視眼的な(目先しか見ない)」という比喩でも使う。
  • eye strainB2
    名詞(句)目の疲れ、眼精疲労Reading in dim light may cause eye strain. strain は「負担・緊張」。muscle strain(筋肉の痛み)、mental strain(精神的負担)も同じ語。
  • near workC1
    名詞(句)近業(近くを見る作業)Hours of near work can tire your eyes. 読書、スマホ、勉強など目の近くで行う作業の総称。近視研究で使われる用語。
  • outdoorsA2
    副詞・名詞屋外で/野外Children should spend more time outdoors. 副詞は outdoors、形容詞は outdoor(outdoor activity)。s の有無で品詞が変わる点に注意。
  • permanentB2
    形容詞永久のThere is no permanent damage to the eyes. 反対は temporary(一時的な)。髪の「パーマ」は permanent wave の略。
  • reverseB2
    動詞元に戻す、逆にするMyopia usually cannot be reversed. 形容詞 irreversible は「元に戻せない」。reverse causation(逆の因果)も研究の頻出語。

4コマでわかる

「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は根拠なし。本当に近視と関係していたのは"外遊び"だったの4コマ漫画
「暗い所で本を読むと目が悪くなる」は、米国眼科学会も「目を傷めない」と説明しているらしい。むしろ近視と関係が深いのは外で過ごす時間。学校で外遊びを40分増やしたら近視の発症が減った実験まである。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Vreeman & Carroll (2007) Medical myths, BMJdoi.org
  2. Morgan, Ohno-Matsui & Saw (2012) Myopia, The Lancetdoi.org
  3. He et al. (2015) Effect of Time Spent Outdoors at School on the Development of Myopia Among Children in China, JAMAdoi.org
  4. Huang et al. (2015) The Association between Near Work Activities and Myopia in Children—A Systematic Review and Meta-Analysis, PLOS ONEdoi.org
  5. Wu et al. (2013) Outdoor Activity during Class Recess Reduces Myopia Onset and Progression in School Children, Ophthalmologydoi.org