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「人は見た目が9割」は誤解だった。メラビアンの法則、本当はこんな実験

「人は見た目が9割」は誤解だった。メラビアンの法則、本当はこんな実験

読む前に予想してみよう!

メラビアンの法則は「どんな会話でも、話の内容は7%しか伝わらない」という意味だ

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカの女子大学生
規模
数十人(2つの小規模実験)
研究の種類
実験室実験
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

「話の内容7%、声38%、見た目55%」という数字は、言葉と態度が食い違うときに好き嫌いを判断する、限られた実験の結果。会話全般の法則ではない。

ひとことで言うと「見た目が大事」という法則は、ほんとはもっとせまい話だった!

もくじ
  1. 「7・38・55」の正体
  2. カギは「食い違い」
  3. メラビアン本人も「誤解だ」と
  4. じゃあ見た目や声は関係ない?
  5. まとめ

「人は見た目が9割」「話の内容は7%しか伝わらない」

研修やビジネス書で、一度は聞いたことがあるかもしれません。その根拠としてよく出てくるのがメラビアンの法則です。

でもこの法則、元の実験を見てみると、ぜんぜん違う話だったんです。

01「7・38・55」の正体

メラビアンの法則として広まっているのは、こんな内容です。

  • 話の内容(言葉):7%
  • 声のトーンや話し方:38%
  • 表情や見た目:55%

「だから見た目が大事!」と言われるのですが……この数字が生まれたのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者アルバート・メラビアンが1967年に発表した2つの実験です。

つまり実験は、ひと言だけの単語について、話し手の「好き・嫌い」の気持ちを読み取るものでした。プレゼンや説得、情報の伝わり方を調べたわけではないのです。

02カギは「食い違い」

この実験で重要なのは、言葉と声と表情がバラバラなときの判断だったことです。

たとえば、笑顔で「最悪」と言われたら? 怒った声で「ありがとう」と言われたら?

こういう矛盾したメッセージを受け取ったとき、人は言葉の意味よりも、声や表情を手がかりにして気持ちを読み取りやすい——これが実験の本当の結論です。

言葉と表情が食い違うとき、人は表情の方を信じやすい
言葉と表情が食い違うとき、人は表情の方を信じやすい

03メラビアン本人も「誤解だ」と

7-38-55という数字が「すべてのコミュニケーションの法則」として広まったことについては、メラビアン自身も、感情や態度(好き・嫌い)を伝える場面でなければ当てはまらないという趣旨の注意を出しています。

しかも、この数字は2つの別々の実験の結果を組み合わせて推定したもので、参加者も少数の大学生でした。会話全般に一般化するには、そもそも無理があったのです。

たとえるなら、「激辛カレーを食べた直後の人は、水の味を感じにくい」という実験から、「人は水の味を7%しか感じない」と言い切るようなもの。特殊な条件で出た数字が、条件を外して一人歩きした——それがメラビアンの法則の誤解の正体です。

04じゃあ見た目や声は関係ない?

もちろん、表情や声の調子は大事です。

  • 内容が同じでも、ボソボソ話すより、はっきり話した方が伝わりやすい
  • 感情や本音は、言葉以外のサインからも読み取られる

ただし、それを「9割」「7%」と数字で言い切るのは科学的には言いすぎ。中身と伝え方、どちらも大事というのが妥当なところです。

05まとめ

メラビアンの法則が本当に教えてくれるのは、「見た目が9割」ではなく、「言葉と態度がズレると、相手は態度の方を信じる」ということ。

謝るときに不満そうな顔をしていたら、言葉は台無しになる。そう考えると、この実験は人間関係のいいヒントになりますね。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Only 7 percent of communication comes from words, 38 percent from tone of voice, and 55 percent from body… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"Only 7 percent of communication comes from words, 38 percent from tone of voice, and 55 percent from body language." This famous rule is often used in business training, but it is based on a misunderstanding. In 1967, psychologist Albert Mehrabian carried out two small experiments.

Participants listened to single words such as "dear" or "terrible," said in a positive, neutral or negative tone, and some also saw photos of facial expressions. They then judged whether the speaker liked the listener. The key point is that the words, voice and face often did not match. In such cases, people relied more on the voice and face. Mehrabian himself has said that the numbers apply only to feelings and attitudes, not to all communication.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「コミュニケーションのうち言葉によるものはわずか7%、声の調子が38%、ボディランゲージが55%」。この有名な法則はビジネス研修でよく使われますが、誤解にもとづいています。1967年、心理学者アルバート・メラビアンは2つの小規模な実験を行いました。

参加者は「dear(あなた)」や「terrible(ひどい)」のような単語ひとつを、好意的・中立・否定的な調子で言ったものを聞き、一部の人は表情の写真も見ました。そして、話し手が聞き手を好きかどうかを判断しました。重要なのは、言葉と声と表情がしばしば食い違っていたことです。そのような場合、人々は声や表情の方をより頼りにしました。メラビアン自身も、この数字は感情や態度にだけ当てはまり、すべてのコミュニケーションに当てはまるわけではないと述べています。

4択リーディングクイズ

Q1. What did participants judge in Mehrabian's experiments?

Q2. What was the key condition in the experiments?

Q3. What would Mehrabian probably say about using the rule for business presentations?

重要単語

  • nonverbalB2
    形容詞言葉を使わないSmiles and gestures are nonverbal signals. non-(否定)+verbal(言葉の)。nonverbal communication「非言語コミュニケーション」は頻出テーマ。
  • inconsistentB2
    形容詞食い違う、一貫しないHer words and face were inconsistent. be inconsistent with ~「~と矛盾する」。反対語 consistent。
  • toneB1
    名詞口調、声の調子His tone sounded angry. tone of voice「声の調子」。文章の「論調」の意味でも入試の内容一致問題に出る。
  • attitudeB1
    名詞態度、気持ちWe read attitudes from facial expressions. attitude toward(s) ~「~に対する態度」。前置詞 toward とセットで覚える。
  • misinterpretC1
    動詞誤解するThe rule is often misinterpreted. mis-(誤って)+interpret(解釈する)。misunderstand より「解釈を誤る」ニュアンスが強い。
  • overgeneralizeC1
    動詞過度に一般化するDon't overgeneralize from one small study. over-(過度に)+generalize。小さな研究から大きな結論を出すことへの批判で使う。
  • hostileB2
    形容詞敵意のあるShe said "thank you" in a hostile tone. 名詞 hostility。hostile to ~「~に敵対的な」。host(主人)とは別語源。

動画でもっと知る

4コマでわかる

「人は見た目が9割」は誤解だった。メラビアンの法則、本当はこんな実験の4コマ漫画
「話の中身は7%しか伝わらない、見た目が55%」でおなじみのメラビアンの法則。元の実験は、単語1つの意味と声や表情が食い違う場面で「好意」を判断させたもの。プレゼンの話じゃなかった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Mehrabian & Wiener (1967) Decoding of inconsistent communications, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  2. Mehrabian & Ferris (1967) Inference of attitudes from nonverbal communication in two channels, Journal of Consulting Psychologydoi.org
  3. Lapakko (1997) Three cheers for language: A closer examination of a widely cited study of nonverbal communication, Communication Educationdoi.org
  4. Mehrabian 本人による解説ページ(Silent Messages, 著者公式サイト)kaaj.com