謝罪で一番効くのは「ごめんなさい」じゃなかった。研究でわかった謝り方の6要素

読む前に予想してみよう!
謝罪の6つの要素のうち、最も効果的と評価されたのは「自分の責任だと認めること」だった
ルウィッキらの研究で1位は責任の承認、2位は埋め合わせの申し出。「許してください」は最も効果が小さかった。
- 対象
- アメリカの大学生・社会人
- 規模
- 計約750人(2つの実験)
- 研究の種類
- シナリオ実験
- 確かさ
- ★★★☆☆
謝罪の6つの要素を比べた研究では、最も効果的だったのは「自分の責任だと認めること」、次が「埋め合わせの申し出」。「許してください」は一番効果が小さかった。
ひとことで言うと謝るときは「わたしのせいです」とハッキリ言うのが大事!
友達とケンカした。約束を忘れてしまった。うっかり相手を傷つけるひと言を言ってしまった。
そんなとき、どう謝りますか?
「ごめんなさい」と言えば十分? それとも「許して!」と頭を下げる? じつは、謝罪の言葉にも「効きやすい要素」と「あまり効かない要素」があることが研究で分かっています。
01謝罪を6つの部品に分解
この研究を行ったのは、アメリカのオハイオ州立大学のロイ・ルウィッキらです。
研究で使われた謝罪の6つの要素はこちらです。
- 後悔の表明(「本当に申し訳なく思っています」)
- 何が起きたかの説明(「〇〇のせいで遅れてしまいました」)
- 責任を認める(「私のミスです」)
- 反省・再発防止の宣言(「二度としません」)
- 埋め合わせの申し出(「代わりに〇〇させてください」)
- 許しを求める(「許してください」)
021位は「私のせいです」
結果、最も効果的だと評価されたのは——
③責任を認めることでした。
「誰かのせい」「状況のせい」にせず、「これは自分の責任です」とはっきり言うことが、謝罪の中心だったのです。
2位は⑤埋め合わせの申し出。「言葉だけでなく行動で返す」という姿勢が、相手の心に響くのでしょう。
そして、最も効果が小さかったのが、⑥許しを求めることでした。
また、研究チームは、要素を多く含む謝罪ほど効果的と感じられやすいことも報告しています。

03なぜ「許して」は効かないの?
「許してください」は、謝る側としては一番言いたい言葉かもしれません。
でも受け取る側からすると、「許すかどうか」の判断を急かされているように感じることがあります。主役が「傷ついた相手」から「謝る自分」に移ってしまうのです。
同じように、説明が言い訳に聞こえてしまうと、効果が弱まりかねません。「でも」「だって」が多い謝罪は、責任を認めていないように受け取られやすいのです。
たとえば、「遅れてごめん、でも電車が遅れてて」と「遅れてごめん、早めに出なかった私のミス。次からは10分早く出るね」。どちらも説明を含みますが、後者は責任・反省・再発防止がそろっています。受け取る側の印象がまったく違うのは、なんとなく想像できますよね。
04謝ると「負けた気がする」問題
ちなみに、謝ることを拒んだ人の心の中を調べたユニークな研究もあります。
2013年、オーストラリアの研究チームは、謝罪を拒否した人は、拒否しなかった人より、自尊心や「自分がコントロールしている感覚」が高かったことを報告しました。
謝るのが難しいのは、謝ると自分の価値が下がるように感じてしまうからかもしれません。でも、許しについての多くの研究をまとめた分析では、謝罪は相手が許しやすくなることと結びついていることも示されています。目先のプライドより、関係の修復を選ぶ価値はありそうです。
謝罪の心理を整理したレビュー(Schumann、2018年)でも、人が謝れない理由として「相手への関心の薄さ」「自分のイメージへの脅威」「謝っても無駄だという思い込み」などが挙げられています。逆に言えば、そこを意識するだけで謝るハードルは少し下がるのかもしれません。
05まとめ
謝罪の核心は、「ごめんなさい」の言い方より、「自分の責任です」と認める勇気と行動で返す姿勢でした。
謝るのは怖いし、負けた気もする。でもそれは、壊れかけた関係を直すためのいちばん確かな工具なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSaying "I'm sorry" is not always enough.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
What is the best way to say sorry? Researchers in the United States studied this question. They divided apologies into six parts. People read different apologies and said which ones worked best.
The winner was saying, "It was my fault." The second best was offering to fix the problem. Asking "Please forgive me" worked the least. So when you say sorry, take responsibility clearly and try to make things right.
70 words ・ CEFR A2
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謝るための一番いい方法は何でしょうか。アメリカの研究者たちがこの疑問を調べました。彼らは謝罪を6つの部分に分けました。人々はさまざまな謝罪を読み、どれが一番効果的かを答えました。
1位は「私のせいです」と言うことでした。2位は問題を直すと申し出ることでした。「許してください」とお願いすることは、一番効果がありませんでした。ですから、謝るときは、はっきり責任を認め、状況を元に戻そうとしましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
謝罪を6つの部分に分け、どれが効くかを調べた研究の話なので C。
Q2. Which part of an apology worked the least?
Asking "Please forgive me" worked the least. とあるので A。
Q3. In this passage, "make things right" means ...
make things right は「(損なったものを)元どおりにする・償う」。直前の offering to fix the problem と同じ意味なので D。
Saying "I'm sorry" is not always enough. In 2016, Roy Lewicki and his colleagues at Ohio State University broke apologies into six parts. They were expressing regret, explaining what went wrong, acknowledging responsibility, promising not to do it again, offering to repair the damage, and asking for forgiveness. In two experiments with about 750 people in total, participants read apologies containing different parts and rated how effective they seemed.
Acknowledging responsibility was judged the most effective, followed by offering to repair. Asking for forgiveness was rated the least effective. The team also found that apologies with more of the six parts tended to seem more effective. One reason "please forgive me" may fail is that it puts pressure on the person who was hurt.
124 words ・ CEFR B1
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「ごめんなさい」と言うだけでは、いつも十分とは限りません。2016年、オハイオ州立大学のロイ・ルウィッキらは、謝罪を6つの部分に分けました。それは、後悔の表明、何がいけなかったかの説明、責任を認めること、二度としないと約束すること、損害の埋め合わせを申し出ること、そして許しを求めることです。合計約750人が参加した2つの実験で、参加者はさまざまな部分を含む謝罪文を読み、それがどのくらい効果的に思えるかを評価しました。
責任を認めることが最も効果的と判断され、次が埋め合わせの申し出でした。許しを求めることは最も効果が小さいと評価されました。研究チームは、6つの部分を多く含む謝罪ほど効果的に見えやすいことも発見しました。「許してください」がうまくいかない理由の一つは、それが傷ついた側の人に圧力をかけてしまうことかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What did Lewicki's team study?
謝罪を6つに分け、どれが効果的に思えるかを評価させた研究なので A。
Q2. Which part was rated the second most effective?
Acknowledging responsibility was judged the most effective, followed by offering to repair. とあるので2位は D。
Q3. What can we infer about a good apology?
責任の承認が1位で、要素が多いほど効果的に見えやすいと書かれているので B。
Most of us assume that the heart of an apology is the word "sorry," but research suggests otherwise. In a 2016 study, Roy Lewicki and colleagues divided apologies into six components: an expression of regret, an explanation, an acknowledgment of responsibility, a declaration of repentance, an offer of repair, and a request for forgiveness. Across two scenario experiments involving roughly 750 participants, people rated how effective various apologies appeared.
Acknowledging responsibility emerged as the most powerful element, with an offer of repair in second place, while a request for forgiveness had the weakest effect. Apologies containing more components were also judged more favorably. A request for forgiveness may backfire because it shifts attention from the victim to the offender and implicitly pressures the victim to decide. These findings, however, come from participants evaluating written scenarios, not from real conflicts in which relationships were actually repaired.
The same study also found that apologies following an integrity violation were rated as less effective than those following a competence violation. Separately, a 2013 study found that refusing to apologize can boost self-esteem, which may explain why apologizing feels so difficult.
187 words ・ CEFR B2
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私たちの多くは、謝罪の核心は「ごめんなさい」という言葉だと思い込んでいますが、研究はそうではないことを示唆しています。2016年の研究で、ロイ・ルウィッキらは謝罪を6つの構成要素に分けました。後悔の表明、説明、責任の承認、反省の宣言、埋め合わせの申し出、そして許しの要求です。
約750人が参加した2つのシナリオ実験で、人々はさまざまな謝罪がどれほど効果的に見えるかを評価しました。責任の承認が最も強力な要素として浮かび上がり、埋め合わせの申し出が2位、そして許しの要求は最も効果が弱いものでした。構成要素を多く含む謝罪は、より好意的に評価されもしました。許しの要求が逆効果になりうるのは、注目を被害者から加害者へ移し、被害者に判断を暗に迫るからかもしれません。しかし、これらの結果は参加者が文章のシナリオを評価したものであり、実際に関係が修復された現実の対立から得られたものではありません。
同じ研究では、誠実さの違反のあとの謝罪は、能力の違反のあとの謝罪より効果が低いと評価されました。これとは別に、2013年の研究では、謝罪を拒むと自尊心が高まることがわかっており、謝ることがこれほど難しく感じられる理由を説明しているのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
責任の承認が最も効果的という結果と、シナリオ実験である等の限界の両方を述べているので D。
Q2. What is mentioned as a limitation of Lewicki's study?
come from participants evaluating written scenarios, not from real conflicts とあるので B。
Q3. According to the passage, why might people find it hard to apologize?
refusing to apologize can boost self-esteem, which may explain why apologizing feels so difficult とあるので C。
重要単語
- apologyB1名詞謝罪A sincere apology can repair a friendship.
動詞 apologize to 人 for 事「人に事を謝る」。前置詞の組み合わせが入試頻出。 - acknowledgeB2動詞認めるHe acknowledged that the mistake was his.
knowledge(知識)を含む=「知っていると表明する」。名詞 acknowledgment は本の「謝辞」の意味も。 - responsibilityB1名詞責任Taking responsibility shows respect for others.
take responsibility for ~「~の責任をとる」。response(応答)+ability=「応える能力」が語源イメージ。 - forgivenessB2名詞許しShe asked for forgiveness too quickly.
動詞 forgive A for B「AのBを許す」。活用 forgive-forgave-forgiven。 - compensationB2名詞埋め合わせ、補償He offered compensation for the broken cup.
動詞 compensate for ~「~を埋め合わせる」は make up for ~ と言い換え可能で頻出。 - regretB1名詞・動詞後悔(する)She expressed deep regret for her words.
regret doing「~したことを後悔する」と regret to do「残念ながら~する」の区別は文法問題の定番。 - backfireC1動詞裏目に出る、逆効果になるAsking for forgiveness too soon can backfire.
銃の「逆火」から。意図と反対の結果になること。plan backfires の形でよく使う。
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謝罪の言葉を6つの要素に分けて効果を比べた研究。一番効いたのは「ごめんなさい」でも「許して」でもなく、「自分の責任です」と認めること。2位は「埋め合わせさせて」。「許してください」は最下位だったらしい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Lewicki, Polin & Lount (2016) An exploration of the structure of effective apologies, Negotiation and Conflict Management Researchdoi.org
- Fehr, Gelfand & Nag (2010) The road to forgiveness: A meta-analytic synthesis of its situational and dispositional correlates, Psychological Bulletindoi.org
- Okimoto, Wenzel & Hedrick (2013) Refusing to apologize can have psychological benefits (and we issue no mea culpa for this research finding), European Journal of Social Psychologydoi.org
- Schumann (2018) The psychology of offering an apology: Understanding the barriers to apologizing and how to overcome them, Current Directions in Psychological Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












