ストーンヘンジの石、700km以上も離れたスコットランドから運ばれていた

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ストーンヘンジの石は、すべて建てられた場所のすぐ近くで切り出された
一番大きな砂岩は約25km北、ブルーストーンはウェールズ、祭壇石はスコットランド北東部が出どころと考えられている。
- 対象
- ストーンヘンジの巨石3種類
- 規模
- 石の化学組成と鉱物粒子の年代測定
- 研究の種類
- 地球化学的な産地推定研究
- 確かさ
- ★★★★☆
巨大な砂岩は約25km北から、ブルーストーンはウェールズから約225km、中央の「祭壇石」はなんと700km以上離れたスコットランド北東部から来ていた。
ひとことで言うとストーンヘンジの石は、遠い遠いところから運ばれてきたものだった!
もくじ
イギリスの草原にぽつんと立つ、巨大な石の輪「ストーンヘンジ」。約5000年前から少しずつ造られた、世界でもっとも有名な古代遺跡の1つです。
「誰が、何のために造ったのか」はいまも議論が続いていますが、ここ数年で1つの大きな謎が解けました。石はどこから来たのか?
答えは驚きでした。真ん中に横たわる6トンの「祭壇石」は、なんと700km以上も離れたスコットランド北東部から運ばれてきたと考えられているのです。東京から広島くらいの距離を、約5000〜4500年前の人々が石を運んだことになります。
01ストーンヘンジには「3種類の石」がある
ストーンヘンジの石は、ざっくり3つのグループに分けられます。
- サーセン石:高さ数メートル、重さ20トン級の巨大な砂岩。外側の大きな輪や、門のような「トリリトン」を作っている
- ブルーストーン:比較的小さめ(数トン程度)の石。割ると青っぽく見えることからこう呼ばれる
- 祭壇石:中心付近に横たわる、緑がかった砂岩の大きな板
それぞれ、出どころがまったく違ったのです。

02サーセン石は「25km北の森」から
石の「化学的特徴」とは、石に含まれるさまざまな元素の割合のこと。人間の指紋のように、産地ごとに少しずつ違うので、照らし合わせれば出身地がわかるのです。
03ブルーストーンは「225km先のウェールズ」から
ブルーストーンの多くの出身地が、西に約225km離れたウェールズのプレセリ丘陵であることは、20世紀前半の地質学的な研究から知られていました。
さらにロンドン大学(UCL)のマイク・パーカー・ピアソンらの発掘で、プレセリ丘陵の岩場(カーン・ゴエドッグなど)に石を切り出した跡(石切り場)が見つかり、2019年に学術誌 Antiquity で報告されました。そこでは約5000年前、ストーンヘンジの最初の工事と同じころに、柱のように割れやすい岩から石が取り出されていたのです。
04祭壇石は「700km以上先のスコットランド」から
長年いちばんの謎だったのが、祭壇石です。以前はブルーストーンと同じくウェールズ出身だと思われていましたが、詳しく調べるほど合わないことがわかってきました。
2024年、オーストラリアのカーティン大学のアンソニー・クラークらは、イギリスの地質学者たちとともに、科学誌 Nature に決定的な論文を発表します。
祭壇石のかけらに含まれる、ジルコン、アパタイト、ルチルといったとても小さな鉱物の粒の年齢を1つ1つ測ったところ、その「年齢の組み合わせ」が、スコットランド北東部のオーケイディアン盆地の砂岩(旧赤色砂岩)とそっくりだったのです。論文では、運ばれた距離は少なくとも750kmと見積もられています。鉱物の粒は、いわば石の中に閉じこめられた「生まれ故郷のスタンプ」のようなものです。
056トンの石をどうやって運んだ?
700km以上の道のりを、6トンの石がどう旅したのかは、まだわかっていません。
陸路では山や川が多すぎるため、研究チームは海を船で運んだ可能性を挙げています。また2026年には同じ研究者らが、氷河の流れのシミュレーションを使って、氷河が途中(北海のドッガーバンクのあたり)まで運んだ可能性も検討しました。しかし、そのルートでも人が運ぶ距離は約400km残るうえ、ドッガーバンクは祭壇石が運ばれるより前に海に沈んでいたと考えられ、人の力でかなりの距離を運ぶ必要があったと結論づけています。
いずれにしても、約5000〜4500年前のイギリスに、遠く離れた地域どうしが協力できる大きな人のつながりがあったことを示しています。
06まとめ
- 巨大なサーセン石は約25km北のウェスト・ウッズから
- ブルーストーンは約225km西のウェールズ・プレセリ丘陵から
- 祭壇石はなんと700km以上離れたスコットランド北東部から
- 鉱物の粒の「年齢の指紋」が、石のふるさとを教えてくれた
ストーンヘンジは、ただの石の輪ではなく、イギリス中の人々をつなぐ「巨大な共同プロジェクト」だったのかもしれません。石1つ1つに、遠いふるさとと長い旅の物語がつまっています。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerStonehenge, built in stages from about 5,000 years ago, contains three kinds of stone, and each came from a…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Stonehenge is a famous ring of huge stones in England. It was built about 5,000 years ago. Scientists studied where the stones came from. The biggest stones came from about 25 kilometers away.
Some smaller stones came from Wales. The Altar Stone, which weighs six tonnes, came from Scotland, more than 700 kilometers away! People long ago moved it a very long way.
63 words ・ CEFR A2
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ストーンヘンジは、イギリスにある巨大な石でできた有名な輪です。約5000年前に造られました。科学者たちは、石がどこから来たのかを調べました。いちばん大きな石は約25km離れたところから来ていました。
小さめの石の一部はウェールズから来ていました。重さ6トンの祭壇石は、700km以上離れたスコットランドから来ていたのです!昔の人々は、それをとても長い距離運んだのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ストーンヘンジの石の出どころを調べた話なので D。
Q2. Where did the Altar Stone come from?
The Altar Stone ... came from Scotland とあるので B。ウェールズは小さめの石の出どころ。
Q3. In this passage, "weighs" means ...
weigh は「重さが~ある」。weighs six tonnes で「6トンの重さがある」なので A。
Stonehenge, built in stages from about 5,000 years ago, contains three kinds of stone, and each came from a different place. In 2020, scientists compared the chemistry of a core sample with stones across southern England and found that most of the giant sarsen stones came from West Woods, about 25 kilometers north.
The smaller bluestones came from the Preseli Hills in Wales, about 225 kilometers away, where quarries have been found. Most surprisingly, a 2024 study used the ages of tiny mineral grains to show that the six-tonne Altar Stone came from northeast Scotland, more than 700 kilometers away. Exactly how people moved such a heavy stone so far has not been worked out.
115 words ・ CEFR B1
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約5000年前から段階的に造られたストーンヘンジには3種類の石があり、それぞれ別の場所から来ていました。2020年、科学者たちは芯のサンプルの化学的特徴をイギリス南部各地の石と比べ、巨大なサーセン石のほとんどが約25km北のウェスト・ウッズから来ていることを突き止めました。
小さめのブルーストーンは、約225km離れたウェールズのプレセリ丘陵から来ており、そこでは石切り場が見つかっています。最も驚くべきことに、2024年の研究は小さな鉱物の粒の年齢を使って、6トンの祭壇石が700km以上離れたスコットランド北東部から来たことを示しました。これほど重い石を人々がどうやってそんなに遠くまで運んだのかは、解明されていません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
3種類の石がそれぞれ別の、時にとても遠い場所から来ていた、という内容なので B。
Q2. How did the 2024 study find the Altar Stone's origin?
used the ages of tiny mineral grains とあるので D。
Q3. What does moving the Altar Stone so far suggest about people at that time?
6トンの石を700km以上運んだことから、遠く離れた地域の人々が協力していたと推論できるので C。
Stonehenge was assembled in stages from roughly 5,000 years ago, using stones from very different places. In 2020, researchers analyzed a core drilled out of one of the sarsens during restoration work in 1958. The core had been missing for about sixty years. Its chemical fingerprint matched 50 of the 52 surviving sarsens and pointed to West Woods, about 25 kilometers north.
The smaller bluestones came from the Preseli Hills in Wales, roughly 225 kilometers away. Excavations there have found quarries worked around the time Stonehenge was first built, which weakens the minority view that glaciers carried the stones. The biggest surprise was the six-ton Altar Stone. In 2024, a team measured the ages of individual zircon, apatite, and rutile grains inside it.
Their combination matched sandstone in northeast Scotland's Orcadian Basin, at least 750 kilometers away, although the exact quarry has not been identified. Nobody knows how the stone made the journey, and sea transport is one possibility. A 2026 simulation even allowed glaciers to carry it part of the way, but people would still have had to move it around 400 kilometers. Moving it that far would have required people across Neolithic Britain to work together.
198 words ・ CEFR B2
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ストーンヘンジは約5000年前から段階的に組み立てられ、その石はまったく異なる場所から運ばれてきました。2020年、研究者たちは、1958年の修復工事の際にサーセン石の1本から抜き取られた芯を分析しました。この芯は約60年間、行方不明になっていたものです。その化学的な「指紋」は、現存する52本のサーセン石のうち50本と一致し、約25km北のウェスト・ウッズを指し示しました。
小さめのブルーストーンは、約225km離れたウェールズのプレセリ丘陵から来ていました。そこでの発掘では、ストーンヘンジが最初に造られたころに使われていた石切り場が見つかっており、氷河が石を運んだという少数派の見方は弱まっています。最大の驚きは6トンの祭壇石でした。2024年、ある研究チームがその中のジルコン、アパタイト、ルチルの粒の年齢を1つずつ測りました。その組み合わせは、少なくとも750km離れたスコットランド北東部のオーケイディアン盆地の砂岩と一致しました。
ただし、具体的な石切り場はまだ特定されていません。この石がどのように運ばれたのかは誰にもわからず、海上輸送も可能性の1つです。2026年のシミュレーションは、氷河が途中まで運んだ場合まで考えましたが、それでも人が約400km運ぶ必要がありました。それほど遠くまで運ぶには、新石器時代のイギリス各地の人々の協力が必要だったはずです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
化学的な分析で石の出どころが多様で遠いことがわかり、広い協力関係がうかがえる、という内容なので A。
Q2. Why was the core sample from 1958 important?
Its chemical fingerprint matched 50 of the 52 surviving sarsens とあり、化学的特徴の比較に使われたので C。
Q3. What did the 2026 simulation conclude?
people would still have had to move it around 400 kilometers とあるので B。
重要単語
- megalithC1名詞巨石Stonehenge is a ring of megaliths.
mega(巨大な)+lith(石)。形容詞 megalithic。Neolithic の lith も「石」。 - provenanceC1名詞出どころ、産地Scientists traced the provenance of the Altar Stone.
美術品の「来歴」の意味でも使う。origin の硬い言い方。 - NeolithicC1形容詞新石器時代のNeolithic people moved huge stones.
neo(新しい)+lith(石)。Paleolithic は「旧石器時代の」。 - quarryC1名詞石切り場Archaeologists found the quarry in Wales.
「(狩りの)獲物」という別の意味もある多義語。 - sandstoneB2名詞砂岩The Altar Stone is made of sandstone.
sand(砂)+stone。limestone(石灰岩)、granite(花こう岩)とあわせて覚える。 - glacierB2名詞氷河Some think a glacier carried the stones.
発音は /ˈɡleɪʃər/(グレイシャー)。形容詞 glacial。地球温暖化の長文で頻出。
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- History and Stories: Stonehenge(English Heritage)english-heritage.org.uk
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ストーンヘンジの真ん中の「祭壇石」、6トンもあるのに700km以上離れたスコットランドから運ばれてたらしい。5000年前の人、根性がすごい。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Nash et al. (2020) Origins of the sarsen megaliths at Stonehenge, Science Advancesdoi.org
- Parker Pearson et al. (2019) Megalith quarries for Stonehenge's bluestones, Antiquitydoi.org
- Clarke et al. (2024) A Scottish provenance for the Altar Stone of Stonehenge, Naturedoi.org
- Parker Pearson et al. (2025) Stonehenge and its Altar Stone: the significance of distant stone sources, Archaeology Internationaldoi.org
- Clarke et al. (2026) From Highlands to Henge: Refining the Provenance and Transport Pathways of Stonehenge's Altar Stone, Journal of Quaternary Sciencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












