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駐車場の下で見つかった王の骨。リチャード3世のDNAが明かした「背骨の曲がり」と最期

駐車場の下で見つかった王の骨。リチャード3世のDNAが明かした「背骨の曲がり」と最期

読む前に予想してみよう!

リチャード3世の骨からは、背中に大きなこぶ(せむし)があった証拠が見つかった

研究カード(どんな研究?)
対象
レスターで発掘された人骨
規模
1体(+現存する親族のDNA)
研究の種類
古代DNA鑑定・CT・放射性炭素年代測定
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

2012年、英国レスターの駐車場の下から出た人骨。ミトコンドリアDNAが姉の母系の子孫と一致し、CTで背骨の強い側弯と、頭部の死亡時の傷9か所が確認された。

ひとことで言うと500年前の王さまの骨が、駐車場の下から見つかってDNAで確認された。

もくじ
  1. 1日目で見つかった
  2. DNAは「母方」で一致した
  3. 「せむしの王」は本当だった?
  4. 最期の瞬間を骨から読む
  5. どんでん返し:DNA鑑定にも「限界」がある
  6. まとめ

1485年、ボズワースの戦いで命を落としたイングランド王リチャード3世。イングランド王で戦場で死んだ最後の王です。

遺体は近くの修道院に埋められたと伝えられましたが、修道院は後に取り壊され、墓の場所はわからなくなりました。「川に捨てられた」という噂まであったほどです。

ところが2012年、レスター市の駐車場の下を掘った考古学者たちが、1体の人骨を掘り出します。そして始まったのが、歴史上もっとも有名な「身元確認」のひとつでした。

011日目で見つかった

発掘チームは、古い地図と記録から修道院(グレイフライアーズ)の位置を推定し、市の駐車場のアスファルトを掘りました。

驚くことに、人骨は発掘のごく初期に、想定された教会の内陣にあたる場所から見つかりました。狭く雑に掘られた墓で、両手は右腰のあたりで交差し、縛られていた可能性もありました――急いで埋めた様子がうかがえました。

02DNAは「母方」で一致した

一方で、Y染色体(父から息子へ)は、男系をたどった親族と一致しませんでした。研究チームは、長い世代のどこかで系図と実際の父子関係が食い違った可能性を指摘しています。歴史の家系図と生物学の系図は、必ずしも同じではないのです。

古い地図をもとに駐車場を掘ると、修道院の跡が現れた
古い地図をもとに駐車場を掘ると、修道院の跡が現れた

03「せむしの王」は本当だった?

シェイクスピアの戯曲で、リチャード3世は背中の曲がった悪役として描かれてきました。実際はどうだったのでしょう。

04最期の瞬間を骨から読む

2015年には、法医学的な分析が発表されました。頭部に9か所、体に2か所の、死亡時にできた傷が見つかりました。

治りかけの古傷はなく、どれも新しい傷でした。中でも頭の後ろから下にかけての2つの大きな傷は致命傷になりえたもので、当時の武器(ハルバードなど)によるものと考えられます。腕や手に「防御創」がないことから、鎧は着ていたが、兜(かぶと)を失っていたと推定されました。

骨盤の傷は、死後に加えられたものと考えられています。

05どんでん返し:DNA鑑定にも「限界」がある

この研究は非常に慎重に行われましたが、万能ではありません。

ミトコンドリアDNAは母方の家系を広く共有するので、「この人物しかありえない」と単独で言うには弱い証拠です。だから研究チームは、年代・骨の特徴・傷・埋葬場所といった複数の証拠を数値化して組み合わせました。

逆にY染色体の不一致は、新しい謎(どの世代で系図が途切れたのか)を生みました。

06まとめ

  • 2012年、レスターの駐車場の下からリチャード3世とみられる人骨が発見された
  • ミトコンドリアDNAは母方の親族と一致、Y染色体は不一致だった
  • 背骨には重い側弯症があったが、「こぶ」ではなく服で目立ちにくかったとみられる
  • 頭部の2つの傷が致命傷になった可能性が高く、兜を失った状態だったとみられる

歴史書とシェイクスピアの悪役像の間から、1人の人間の体と最期が浮かび上がる。科学は、500年前の人の名誉にも関わるのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerRichard III, the last English king to die in battle, was killed at the Battle of Bosworth in 1485. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Richard III, the last English king to die in battle, was killed at the Battle of Bosworth in 1485. He was buried in a friary that was later destroyed, so his grave was lost for centuries. In 2012, archaeologists used old maps to guess where the friary had been and dug under a car park in Leicester. They found a skeleton very early in the dig.

A team led by King compared its mitochondrial DNA, which passes from mother to child, with that of living relatives on his sister's side, and found a match. CT scans showed severe scoliosis, a sideways curve of the spine. However, the curve was probably not obvious when he was dressed.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

戦いで亡くなった最後のイングランド王であるリチャード3世は、1485年のボズワースの戦いで命を落としました。彼は後に取り壊された修道院に埋葬されたため、墓は何世紀もの間わからなくなっていました。2012年、考古学者たちは古い地図を使って修道院があった場所を推測し、レスターの駐車場の下を掘りました。彼らは発掘のごく初期に人骨を見つけました。

キングが率いるチームは、母から子へ受け継がれるミトコンドリアDNAを、彼の姉の家系の現存する親族のものと比べ、一致を確認しました。CTスキャンでは、背骨が横に曲がる重い側弯症が見つかりました。しかし、その曲がりは服を着ていればおそらく目立たなかったでしょう。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was Richard III's grave lost for centuries?

Q2. Whose DNA was compared with the skeleton's DNA?

Q3. What does the passage suggest about the popular image of Richard III's back?

重要単語

  • skeletonB2
    名詞骨格・人骨The skeleton was buried under a car park. a skeleton in the closet「隠しておきたい秘密」という慣用句も有名。
  • excavateC1
    動詞発掘するArchaeologists excavated the old friary. ex-(外へ)+cave(穴・ほら穴)。名詞 excavation「発掘」。
  • scoliosisC1
    名詞側弯症(背骨が横に曲がること)He had severe scoliosis of the spine. ギリシャ語 skolios(曲がった)から。spine(背骨)とセットで覚える。
  • identifyB1
    動詞特定する・同定するDNA helped identify the remains. identify A as B「AをBだと特定する」。名詞 identification。
  • descendantB2
    名詞子孫Living descendants gave DNA samples. descend(下る)から。反対は ancestor(祖先)。
  • battleB1
    名詞戦いHe died in battle in 1485. die in battle「戦死する」。比喩で a battle against cancer「がんとの闘い」。
  • overwhelmingB2
    形容詞圧倒的なThe evidence was overwhelming. overwhelming evidence / majority は定番コロケーション。

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4コマでわかる

駐車場の下で見つかった王の骨。リチャード3世のDNAが明かした「背骨の曲がり」と最期の4コマ漫画
1485年に戦死したイングランド王リチャード3世の墓は長く不明だった。2012年、レスターの駐車場の下から出た骨をDNA鑑定したら母方の子孫と一致。CTでは頭に9か所の傷が見つかった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. King et al. (2014) Identification of the remains of King Richard III, Nature Communicationsdoi.org
  2. Appleby et al. (2014) The scoliosis of Richard III, last Plantagenet King of England: diagnosis and clinical significance, The Lancetdoi.org
  3. Appleby et al. (2015) Perimortem trauma in King Richard III: a skeletal analysis, The Lancetdoi.org
  4. Buckley et al. (2013) 'The king in the car park': new light on the death and burial of Richard III, Antiquitydoi.org