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立って仕事をするのは健康的? 8万人の研究で「立つ時間が長くても心臓病リスクは低くなかった」

立って仕事をするのは健康的? 8万人の研究で「立つ時間が長くても心臓病リスクは低くなかった」

読む前に予想してみよう!

スタンディングデスクで立つ時間を増やせば、心臓病のリスクが下がることが確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の成人
規模
約8万3000人
研究の種類
前向きコホート研究(加速度計で測定)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

英国の約8万3000人の研究で、立つ時間は心臓病リスクと関係がなく、1日2時間を超えると静脈瘤などのリスクが高まる傾向。座りすぎも立ちすぎも問題だった。

ひとことで言うと座りっぱなしも立ちっぱなしも、どっちも苦手。体は「動く」のが好き!

もくじ
  1. 8万人の「立っている時間」を機械で測った
  2. 立ち仕事の人は心臓病が多かった?
  3. スタンディングデスクの効果は「座る時間が減る」こと
  4. まとめ

「座りすぎは、たばこと同じくらい体に悪い」——そんなキャッチコピーとともに広まったのが、立ったまま作業できるスタンディングデスクです。

座りっぱなしが体に良くないのは、多くの研究で示されてきました。では、座る代わりに立てば、健康的なのでしょうか?

2024年、その答えに迫る大規模な研究が発表されました。結果は、ちょっと意外なものでした。

018万人の「立っている時間」を機械で測った

結果をまとめると、次のようになります。

  • 立っている時間は、心臓病などのリスクと関連しなかった
  • 1日に2時間を超えて立つと、30分増えるごとに静脈瘤などの血流の病気のリスクが11%高い
  • 座る時間が1日10時間を超えると、1時間増えるごとに血流の病気のリスクが26%、心臓病などのリスクが15%高い

つまり、座りすぎは確かによくない。でも、「座る」を「立つ」に置き換えても、心臓病のリスクが下がるとは限らないのです。研究チームは、立つ時間を増やすことを「処方」しても、心臓病の予防にはならないかもしれないと述べています。

02立ち仕事の人は心臓病が多かった?

立ちっぱなしの仕事についての研究もあります。

カナダ・オンタリオ州の働く人約7300人を約12年追跡した2018年の研究では、主に立って働く職業の人は、主に座って働く職業の人に比べて、心臓病になるリスクが約2倍でした。

デンマークで1990年代から12年間追跡した研究でも、仕事時間の大半を立つか歩くかしている人は、下肢静脈瘤で入院するリスクが約1.8倍でした。

立ちっぱなしでいると、重力で血液が脚にたまりやすくなります。脚の静脈は、ふくらはぎの筋肉がポンプのように動くことで血液を心臓に戻していますが、じっと立っているとそのポンプが働きにくいのです。

ふくらはぎは「第二の心臓」。動かさないと血液が脚にたまりやすい
ふくらはぎは「第二の心臓」。動かさないと血液が脚にたまりやすい

03スタンディングデスクの効果は「座る時間が減る」こと

もちろん、スタンディングデスクに意味がないわけではありません。

職場で座る時間を減らす方法を調べた研究をまとめた2018年のコクラン・レビューでは、座っても立っても使える机を導入すると、職場で座る時間が1日平均約100分減ったと報告されています(短期間の結果で、証拠の質は低め)。

座りすぎを減らすきっかけとしては役立ちます。ただ、大事なのは「座りっぱなし」を「立ちっぱなし」に変えることではなく、姿勢を変えたり、歩いたりして「動く」ことだと考えられます。

04まとめ

立って仕事をすることは、座りすぎを減らすきっかけにはなります。でも、立ちっぱなしもまた体には負担でした。

人の体は、ずっと同じ姿勢でいるようにはできていません。座ったり、立ったり、歩いたり。こまめに動くことが、いちばんの答えのようです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerStanding desks became popular because sitting too much is known to be unhealthy. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Standing desks became popular because sitting too much is known to be unhealthy. But does standing instead of sitting protect the heart? In a 2024 study, researchers used wrist devices to measure how long about 83,000 British adults sat and stood each day, and followed them for about seven years. Standing time was not linked to the risk of heart disease.

In fact, for people who stood more than two hours a day, every extra 30 minutes was linked to an 11% higher risk of circulation problems such as varicose veins. Sitting more than ten hours a day was also linked to a higher risk of both heart and circulation problems. When we stand still, blood collects in the legs because the calf muscles do not pump it back.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

座りすぎが健康に良くないことが知られるようになり、スタンディングデスクが人気になりました。では、座る代わりに立てば心臓を守れるのでしょうか。2024年の研究で、研究者たちは手首につける機器を使って、イギリスの約8万3000人の成人が1日にどれくらい座り、立っているかを測り、約7年間追跡しました。立っている時間は心臓病のリスクと関連していませんでした。

それどころか、1日に2時間より長く立っている人では、30分増えるごとに、静脈瘤などの血流の病気のリスクが11%高くなっていました。1日10時間を超えて座ることも、心臓病と血流の病気の両方のリスクが高いことと関連していました。じっと立っていると、ふくらはぎの筋肉が血液を心臓へ送り返さないため、血液が脚にたまってしまうのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. What was linked to an 11% higher risk of circulation problems?

Q3. Why does blood collect in the legs when we stand still?

重要単語

  • standing deskB1
    名詞(句)立って使う机Our office introduced standing desks. sit-stand desk は高さを変えて座っても立っても使える机。
  • sedentary behaviorC1
    名詞(句)座位行動(座りがちな行動)Too much sedentary behavior is unhealthy. sedentary はラテン語 sedere(座る)から。sedentary lifestyle も頻出。
  • varicose veinsC1
    名詞(句)下肢静脈瘤Standing for long hours can lead to varicose veins. vein は「静脈」、artery は「動脈」。vein には「気分・調子」の意味もある。
  • circulationB2
    名詞血液の循環Walking improves blood circulation in your legs. circle と同語源で「ぐるぐる回ること」。新聞の「発行部数」の意味もある。
  • alternateB2
    動詞交互に行うAlternate between sitting and standing. alternate between A and B「AとBを交互に行う」。形容詞は「1つおきの」(on alternate days)。
  • accelerometerC1
    名詞加速度計An accelerometer on the wrist recorded their movements. accelerate(加速する)+meter(計器)。スマホの歩数計にも使われている。

動画でもっと知る

「座りすぎは体に悪いから立って仕事しよう」と思いきや、英国の約8万3000人のデータでは、立つ時間が長くても心臓病リスクは低くなく、1日2時間を超えると30分ごとに静脈瘤などのリスクが11%高かったらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Ahmadi MN et al. (2024) Device-measured stationary behaviour and cardiovascular and orthostatic circulatory disease incidence, International Journal of Epidemiologydoi.org
  2. Smith P et al. (2018) The Relationship Between Occupational Standing and Sitting and Incident Heart Disease Over a 12-Year Period in Ontario, Canada, American Journal of Epidemiologydoi.org
  3. Tüchsen F et al. (2005) Prolonged standing at work and hospitalisation due to varicose veins: a 12 year prospective study of the Danish population, Occupational and Environmental Medicinedoi.org
  4. Shrestha N et al. (2018) Workplace interventions for reducing sitting at work, Cochrane Database of Systematic Reviewsdoi.org