体と健康・食ウソ

爪の白い点は「カルシウム不足」じゃなかった。皮膚科の分類で読み解く爪のサイン

爪の白い点は「カルシウム不足」じゃなかった。皮膚科の分類で読み解く爪のサイン

読む前に予想してみよう!

爪に白い点があるのは、カルシウムが足りないサインである

研究カード(どんな研究?)
対象
爪の白変(白斑・白爪)
規模
皮膚科領域のレビュー
研究の種類
文献レビュー・分類の整理と診断アルゴリズム
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

爪の小さな白い点の多くは、軽いケガやマニキュアなどで爪が白く見える状態。カルシウム不足や幸運のしるしという説には根拠がない。

ひとことで言うと爪の白い点は、だいたい小さなケガのあと。栄養不足とは限らない。

もくじ
  1. 名前は「白斑(はくはん)」=leukonychia
  2. 小さな白い点の正体
  3. 一方で「爪が全部白い」は要注意
  4. どんでん返し:まれに「遺伝する白い爪」もある
  5. まとめ

爪に、ぽつんと小さな白い点。子どものころ、「カルシウムが足りない証拠」「幸運のしるし」などと言われた人もいるでしょう。

でも皮膚科の教科書を開くと、どちらも出てきません。爪の白い点には、ちゃんとした名前と分類があります。

01名前は「白斑(はくはん)」=leukonychia

爪が白く見える状態を、医学用語で白爪(leukonychia、ロイコニキア)と言います。

よくある小さな白い点は、真の白爪の一種で、専門的には点状白斑(leukonychia punctata)と呼ばれます。

02小さな白い点の正体

爪は、爪の根もと(爪母)で作られます。このとき、

  • ぶつけた、はさんだ、強く押したなどの軽い外傷
  • 爪をいじるくせ、きつい靴
  • マニキュアや除光液など、爪の表面を傷めるもの(この場合は偽性白爪)

などで、爪の層にすき間や未成熟な細胞が残ることがあります。すると、そこで光が散乱して白く見えるのです。

ポイントは、白い点が爪と一緒に伸びていくこと。これは「爪が作られたときの出来事」の記録だからです。

多くの白い点は、小さな傷の記録。伸びれば消えていく
多くの白い点は、小さな傷の記録。伸びれば消えていく

03一方で「爪が全部白い」は要注意

同じ「白」でも、爪全体や広い範囲が白っぽい場合は、話が変わります。

レビューでは、爪全体・一部・横線状に白くなる例として、

  • テリー爪:爪のほとんどが白く、先に細い赤い帯が残る。肝臓の病気などで報告される
  • リンゼー爪(ハーフアンドハーフネイル):根もと半分が白く、先半分が赤褐色。腎臓の病気などで報告される
  • ミーズ線・ミュルケ線:爪を横切る白い線。重い病気や特定の中毒などで報告される

といったパターンが挙げられています。このうちテリー爪・リンゼー爪・ミュルケ線は、爪そのものではなく、下の皮膚や血流の変化を映しています。ミーズ線は爪が作られる過程の乱れの記録です。

見分け方の目安として、爪を押して白さが消える(血流の影響)なら見かけの白爪、押しても変わらないなら真の白爪などの可能性がある、という方法が使われます(例外もあります)。

04どんでん返し:まれに「遺伝する白い爪」もある

ほとんどの白い点は心配のいらないものですが、例外もあります。

生まれつき爪全体が白い遺伝性の白爪が報告されており、家系内で受け継がれる例が知られています。また、爪の下の小さな腫瘍(良性)が白い線として現れることもあります。

05まとめ

  • 爪の白い点は医学用語で白爪(leukonychia)
  • 小さな点の多くは、爪が作られるときの軽い傷の記録
  • カルシウム不足や幸運のしるしという説には根拠がない
  • 爪全体や横線状の白さは、体の病気のサインのことがあるので受診を

爪は、数か月前の自分を記録している小さなノート。白い点を見つけたら、慌てずに「数か月前に何かぶつけたかな」と思い返してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSmall white spots on fingernails are often said to show a lack of calcium, but dermatologists do not list… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Small white spots on fingernails are often said to show a lack of calcium, but dermatologists do not list calcium deficiency as a cause. The medical name for white nails is leukonychia. Most small spots form when the root of the nail is slightly injured, for example by a bump or by biting the nails. This leaves tiny gaps in the nail layers, which scatter light and look white.

Because fingernails grow about 3.5 millimeters a month, a spot slowly moves toward the tip and is eventually cut off. However, when most of the nail looks white, or when white lines cross the nail, it may reflect a problem inside the body, such as liver or kidney disease.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

爪の小さな白い点は、よくカルシウム不足を示すと言われますが、皮膚科医はカルシウム不足を原因として挙げていません。白い爪の医学用語は白爪(ロイコニキア)です。ほとんどの小さな点は、たとえばぶつけたり爪をかんだりして、爪の根もとが軽く傷ついたときにできます。これにより爪の層にごく小さなすき間が残り、それが光を散乱させて白く見えるのです。

手の爪は1か月に約3.5ミリ伸びるので、点はゆっくり先端へ移動し、最後には切り取られます。しかし、爪のほとんどが白く見える場合や、白い線が爪を横切っている場合は、肝臓や腎臓の病気など、体の内側の問題を反映していることがあります。

4択リーディングクイズ

Q1. Why do the small spots look white?

Q2. How fast do fingernails grow, according to the passage?

Q3. When should a person be more careful about white nails?

重要単語

  • nail plateC1
    名詞(句)爪板(爪の硬い部分)The white color is inside the nail plate. plate は「板」。一般に「爪」と呼ぶ部分。
  • nail bedC1
    名詞(句)爪床(爪の下の皮膚)Sometimes the nail bed looks pale. bed は「下に敷かれた土台」の意味。river bed「川床」も同じ発想。
  • injuryB1
    名詞傷・ケガA small injury can leave a white mark. 動詞 injure(傷つける)。be injured in an accident「事故でけがをする」。
  • calciumB1
    名詞カルシウムCalcium is not the cause of these spots. 発音は /ˈkælsiəm/(キャルシアム)。lack of calcium「カルシウム不足」。
  • classificationB2
    名詞分類The review combined two classifications. classify(分類する)の名詞形。classified は「機密の」の意味もある。
  • symptomB1
    名詞症状Nail changes can be a symptom of illness. sign(徴候)とセットでよく使う。p は軽く発音され、聞こえにくいこともある。
  • traumaC1
    名詞外傷・心的外傷Minor trauma to the nail root can cause white dots. 医学では「体の外傷」、心理学では「心の傷(トラウマ)」。
爪の白い点=カルシウム不足、という話は根拠が乏しい。皮膚科の分類では、爪そのものが白くなる型と、爪の下の皮膚が白く見える型があり、小さな点の多くは軽い外傷のあと。ただし「爪全体が白い」は体の病気のサインのことがある。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Iorizzo et al. (2022) Leukonychia: What Can White Nails Tell Us?, American Journal of Clinical Dermatologydoi.org
  2. Grossman & Scher (1990) Leukonychia, International Journal of Dermatologydoi.org
  3. Yaemsiri et al. (2010) Growth rate of human fingernails and toenails in healthy American young adults, Journal of the European Academy of Dermatology and Venereologydoi.org