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指ポキポキの「ポキッ」の正体、MRIで撮影したら泡が“生まれる”瞬間だった

指ポキポキの「ポキッ」の正体、MRIで撮影したら泡が“生まれる”瞬間だった

読む前に予想してみよう!

指をポキポキ鳴らし続けると、関節炎になりやすいことがはっきり証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人の指の関節
規模
1人(MRI撮影)/約200人(関節炎の調査)
研究の種類
画像による実験研究・症例対照研究・横断研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

指を鳴らす音は関節液の中の泡が関係する。MRI撮影で泡ができる瞬間に音が出たと報告されたが、泡がつぶれる音説もあり論争中。

ひとことで言うとポキッの正体は関節の中の「泡」。何十年も研究者がもめている!

もくじ
  1. 関節の中は「液体で満たされたカプセル」
  2. 論争:泡が「できる音」か「つぶれる音」か
  3. すぐにもう一回鳴らせない理由
  4. 60年間、片手だけ鳴らし続けた医師
  5. まとめ

授業中、仕事中、ついやってしまう「指ポキポキ」。気持ちいいけど、まわりからは「関節が太くなるよ」なんて言われたりします。

ところで、あの「ポキッ」という音、何の音か知っていますか?

骨と骨がぶつかる音……ではありません。実はこれ、関節の中の「泡」が関係していて、しかも科学者たちが数十年にわたって論争しているテーマなんです。

01関節の中は「液体で満たされたカプセル」

指の関節は、骨と骨のすき間を関節包というカプセルが包み、その中は関節液(滑液)というとろっとした液体で満たされています。潤滑油のような役割ですね。

指を引っぱったり反らしたりすると、カプセルの中の圧力が急に下がります。すると液体に溶けていたガスが、泡(空洞)となって現れます。炭酸飲料のフタを開けたとき、急に泡が出てくるのと似た仕組みです。

02論争:泡が「できる音」か「つぶれる音」か

1970年代には、「泡がつぶれるときの音」という説が有力でした。

ところが2015年、注目を集める映像が撮影されます。

この研究は「音は泡ができる瞬間に出る」という説を後押ししました。

ところが2018年、別の研究チームが『Scientific Reports』で、関節の形と泡の動きを計算した数理モデルを発表。「泡が一部つぶれるときの圧力変化で、実際の音を説明できる」と反論したのです。

決着はまだついていません。身近な音なのに、最新の科学でもまだ議論中というのがおもしろいところ。

関節のカプセルが引き伸ばされると、液体の中に泡(空洞)が現れる
関節のカプセルが引き伸ばされると、液体の中に泡(空洞)が現れる

03すぐにもう一回鳴らせない理由

一度鳴らした関節は、しばらく鳴らせません。これは、できた泡(ガス)が液体に溶け戻るまで時間がかかるため、と考えられています。

0460年間、片手だけ鳴らし続けた医師

「指ポキは関節炎の原因になる」という話を確かめるため、アメリカの医師アンガー(Unger)さんは、約60年間、左手だけ毎日指を鳴らし、右手は鳴らさないという“ひとり実験”を続けました。

1998年にその結果を医学誌に報告。どちらの手にも関節炎はなく、違いも見られなかったそうです。この研究は2009年にイグノーベル賞を受賞しました。

もちろん1人だけの記録なので証拠としては弱いですが、その後の多人数(約200人)を調べた研究でも、指ポキと手の関節炎に関連は見つからなかったと報告されています。

ただし、1990年には約300人を調べて、よく指を鳴らす人は手の腫れや握力の低下が多かったとする報告もあります。こちらも一時点の調査で、原因と結果ははっきりしませんが、「完全に無害と証明された」わけでもない、と覚えておきましょう。

05まとめ

指ポキの「ポキッ」は、関節の液体の中の泡が関係する音。でも「できる音」か「つぶれる音」かは、いまも研究者が議論中です。

身近すぎて気にも留めなかった音に、まだ解けていない謎がある。科学のおもしろさって、こういうところにあるのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCracking your knuckles makes a popping sound, but what causes it? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Cracking your knuckles makes a popping sound, but what causes it? A finger joint is surrounded by a capsule filled with fluid. When you pull or bend the finger, the pressure inside drops, and gas dissolved in the fluid forms a bubble, much like the bubbles that appear when you open a soda. In 2015, Canadian researchers filmed a finger with real-time MRI and saw a cavity form at the exact moment of the crack.

However, in 2018 another team used a mathematical model and argued that the sound comes from a bubble partly collapsing. As for health, one doctor cracked the knuckles of only one hand for about 60 years and found no arthritis in either hand.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

指の関節を鳴らすとポキッと音がしますが、その原因は何でしょうか?指の関節は、液体で満たされたカプセルに包まれています。指を引っぱったり曲げたりすると、中の圧力が下がり、液体に溶けていたガスが泡になります。炭酸飲料のふたを開けたときに泡が出てくるのとよく似ています。2015年、カナダの研究者たちはリアルタイムMRIで指を撮影し、ポキッと鳴ったちょうどその瞬間に空洞ができるのを確認しました。

しかし2018年、別のチームが数理モデルを使い、音は泡が一部つぶれるときに出ると主張しました。健康面については、ある医師が約60年間片手だけ指を鳴らし続けましたが、どちらの手にも関節炎は見られませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 2018 study argue?

Q3. What does the comparison with opening a soda help explain?

重要単語

  • jointB1
    名詞・形容詞関節/共同のYour fingers have several small joints. 形容詞では「共同の」。a joint project「共同プロジェクト」も頻出。join(つなぐ)と同語源。
  • cavityC1
    名詞空洞/虫歯の穴A cavity formed inside the joint fluid. cave(ほら穴)と同語源。歯医者の話では「虫歯」の意味になる。
  • bubbleA2
    名詞泡The sound may come from a bubble. the bubble economy「バブル経済」のように「実体のない膨張」の比喩にも使う。burst a bubble「泡をはじけさせる」。
  • arthritisC1
    名詞関節炎Knuckle cracking was not linked to arthritis. arthr-(関節)+-itis(炎症)。-itis は bronchitis(気管支炎)など病名に共通する語尾。
  • debateB2
    名詞・動詞論争(する)Scientists still debate the cause of the sound. be under debate「議論中である」。discuss より「賛否が分かれて争う」ニュアンスが強い。
  • collapseB2
    動詞・名詞つぶれる、崩壊する/崩壊The bubble partly collapsed. 建物の倒壊、経済の崩壊、人が倒れることにも使う多義語。the collapse of the empire「帝国の崩壊」。
  • habitualC1
    形容詞習慣的なHe is a habitual knuckle cracker. habit(習慣)の形容詞。a habitual smoker「常習的な喫煙者」の形でよく出る。

動画でもっと知る

指をポキッと鳴らす音の正体、関節の中で泡が“できる”瞬間の音だという研究と、泡が“つぶれる”音だという研究がいまも対立中らしい。ちなみに60年片手だけ鳴らし続けた医師はイグノーベル賞を受賞。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Kawchuk et al. (2015) Real-Time Visualization of Joint Cavitation, PLoS ONEdoi.org
  2. Chandran Suja & Barakat (2018) A Mathematical Model for the Sounds Produced by Knuckle Cracking, Scientific Reportsdoi.org
  3. Unger (1998) Does knuckle cracking lead to arthritis of the fingers?, Arthritis & Rheumatismdoi.org
  4. deWeber, Olszewski & Ortolano (2011) Knuckle Cracking and Hand Osteoarthritis, Journal of the American Board of Family Medicinedoi.org
  5. Castellanos & Axelrod (1990) Effect of habitual knuckle cracking on hand function, Annals of the Rheumatic Diseasesdoi.org