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握力は「健康のバロメーター」? 17か国14万人の研究で、血圧より死亡リスクをよく予測した

握力は「健康のバロメーター」? 17か国14万人の研究で、血圧より死亡リスクをよく予測した

読む前に予想してみよう!

握力が強い人ほど長生きしやすいので、握力トレーニングだけをすれば寿命が延びる

研究カード(どんな研究?)
対象
35〜70歳の成人(17か国)
規模
約14万人
研究の種類
前向きコホート研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

17か国約14万人の研究で、握力が5kg低いごとに死亡リスクが約16%高く、血圧より死亡をよく予測した。ただし握力だけ鍛えれば長生きとは限らない。

ひとことで言うと握力は、全身の筋肉の元気さをはかる「お手軽メーター」!

もくじ
  1. 握力は「血圧より」死亡を予測した
  2. 50万人のイギリスの研究でも
  3. 握力は「原因」ではなく「目印」
  4. まとめ

学校の体力テストで、ぎゅっと握力計を握ったことがありますよね。「30kg超えた!」と友だちと比べ合った思い出がある人もいるでしょう。

実はあの握力、大人の健康を知る手がかりとして、世界中の研究者から注目されています。

2015年、医学誌『ランセット』に、17か国・約14万人を調べた研究が載りました。そこには、ちょっと驚く比較が書かれていたのです。

01握力は「血圧より」死亡を予測した

さらに研究チームは、握力は、収縮期血圧(上の血圧)よりも、死亡や心血管死をよく予測したと報告しています。

血圧といえば健康診断の定番中の定番。それより、ぎゅっと握るだけの握力の方が先の死亡リスクをよく言い当てたというのは、たしかに「マジか」な話です。

0250万人のイギリスの研究でも

2018年には、イギリスの約50万人を調べた研究が『BMJ』に載りました。

ここでも、握力が5kg低いごとに、死亡リスクが女性で約20%、男性で約16%高く、心臓病、呼吸器の病気、がんによる死亡など、さまざまな病気とも関連が見られました。

調べた国や集団の違う大きな研究で、同じような結果が出ている点が、この話の信頼性を高めています。

握る力は、全身の筋肉や体調をうつす窓のようなもの
握る力は、全身の筋肉や体調をうつす窓のようなもの

03握力は「原因」ではなく「目印」

ここで大事なポイント。握力そのものが寿命を決めているわけではないと考えられています。

握力は、腕だけでなく全身の筋肉量や筋力とよく相関します。さらに、病気や栄養不足、運動不足があれば、握力は自然と落ちていきます。つまり握力は、体の状態を映す「目印(マーカー)」なのです。

イギリスの高齢者を長期間追った研究では、男性で、筋肉や脂肪の量を考慮しても、握力と死亡の関連は残ったと報告されています。単に「体が大きい」から握力が強いのではなく、筋肉の「質」や神経の働きも含めた体の元気さが表れているのかもしれません。

だから、ハンドグリップで握力だけ鍛えても、寿命が延びるかどうかはわかっていません。大切なのは、全身の筋肉を使う運動を続けることです。

WHOの身体活動ガイドラインでも、大人には有酸素運動に加えて、週2日以上の筋力を強化する運動がすすめられています。

ちなみに、握力は年齢とともに少しずつ下がっていきます。日本の体力テストのデータを見ても、多くの人で握力のピークは30〜40代ごろで、その後はゆるやかに低下します。だからこそ、若いうちから筋肉の「貯金」をつくり、大人になってからも減らさないことが大切だと考えられています。

また、握力の測定は道具さえあれば数十秒で終わり、痛みもありません。研究者が注目する理由の一つは、この手軽さです。将来、健康診断で血圧と並んで握力が測られる日が来るかもしれません。

04まとめ

握力は、血圧にも負けない「健康のバロメーター」でした。ただし、それは握力が体のいろいろな元気さを映しているから。

握力計の数字を上げたいなら、手だけでなく全身を動かすのが近道です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerGrip strength, the force you use to squeeze something with your hand, may tell us a lot about our health. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Grip strength, the force you use to squeeze something with your hand, may tell us a lot about our health. In a study published in 2015, researchers measured the grip strength of about 140,000 adults aged 35 to 70 in 17 countries and followed them for about four years. For every 5 kg drop in grip strength, the risk of death rose by about 16%.

Grip strength also predicted death better than blood pressure did. A later British study of about 500,000 people showed similar results. However, scientists think grip strength is a marker, not a cause. It reflects muscle strength in the whole body, so training only your hands will not necessarily help you live longer.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

握力、つまり手で何かを握りしめるときに使う力は、私たちの健康について多くのことを教えてくれるかもしれません。2015年に発表された研究で、研究者たちは17か国の35〜70歳の成人約14万人の握力を測り、約4年間追跡しました。握力が5kg低いごとに、死亡リスクは約16%高くなりました。

握力は血圧よりもよく死亡を予測しました。その後のイギリスの約50万人の研究も、同じような結果を示しました。しかし、科学者たちは握力を原因ではなく「目印」だと考えています。握力は全身の筋力を反映しているので、手だけを鍛えても長生きにつながるとは限りません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What happened to the risk of death for every 5 kg drop in grip strength?

Q3. Why might training only your hands not help you live longer?

重要単語

  • grip strengthB2
    名詞(句)握力Grip strength is measured with a dynamometer. grip は「しっかり握ること」。get a grip on ~「~を把握する・落ち着く」も覚えたい。
  • dynamometerC1
    名詞握力計(力を測る器具)Squeeze the dynamometer as hard as you can. dyna(力)+meter(計器)。dynamic, dynamite と同じ「力」の語源。
  • mortalityC1
    名詞死亡(率)Low fitness is linked to higher mortality. mortal(死すべき)→ immortal(不死の)。mortality rate(死亡率)は医療系長文の頻出語。
  • markerB2
    名詞目印、指標Grip strength is a useful marker of health. mark(印)+-er。医学では biomarker(生体指標)としてよく使われる。
  • muscle-strengtheningB2
    形容詞筋力を強化するDo muscle-strengthening activities twice a week. strengthen は strength+-en(~にする)。widen, shorten と同じ作り。
  • reverse causationC1
    名詞(句)逆因果Reverse causation may explain the link between illness and weak grips. A→B と思われた関係が実は B→A だった、という研究の落とし穴。causation は cause の名詞形。
体力テストでおなじみの握力。17か国約14万人を調べたら、握力が5kg低いごとに死亡リスクが約16%高く、血圧よりも死亡を予測する力が強かったらしい。握る力は、全身の健康のバロメーターかも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Leong DP et al. (2015) Prognostic value of grip strength: findings from the Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study, The Lancetdoi.org
  2. Celis-Morales CA et al. (2018) Associations of grip strength with cardiovascular, respiratory, and cancer outcomes and all cause mortality: prospective cohort study of half a million UK Biobank participants, BMJdoi.org
  3. Gale CR et al. (2007) Grip strength, body composition, and mortality, International Journal of Epidemiologydoi.org