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冷やごはんで「レジスタントスターチ」が増えるのは本当。でも“血糖値が下がる”かは研究で割れていた

冷やごはんで「レジスタントスターチ」が増えるのは本当。でも“血糖値が下がる”かは研究で割れていた

読む前に予想してみよう!

炊いたごはんを冷やすと、消化されにくいでんぷんが増える

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な成人
規模
15人・21人の小規模試験
研究の種類
ヒト試験(Soniaはランダム化単盲検クロスオーバー、Chiuはパイロット試験)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

炊いたごはんを冷やすと消化されにくいでんぷんが増えるのは確か。ただ量は少しで、食後の血糖値への効果は研究によって割れている。

ひとことで言うと冷やごはんは消化されにくいでんぷんが少し増える。でも魔法じゃない!

もくじ
  1. ごはんが冷えると、でんぷんが「並び直す」
  2. 冷蔵+温め直しで、血糖値の上がり方がゆるやかに?
  3. でも、別の研究では「差なし」
  4. まとめ

「冷やごはんは太りにくい」「おにぎりは冷めてから食べると血糖値が上がりにくい」——SNSや健康番組で、こんな話を見たことはありませんか。

カギになるのはレジスタントスターチという言葉。直訳すると「(消化に)抵抗するでんぷん」です。

調べてみると、「冷やすと増える」はホント。でも「だから血糖値が上がらない」となると、研究の結果は割れていたのです。

01ごはんが冷えると、でんぷんが「並び直す」

お米の主成分はでんぷん。生のお米のでんぷんは、分子がぎっしり並んだかたい構造をしています。炊くと水と熱で分子がほどけ、やわらかくて消化しやすい状態になります(糊化)。

ところが、炊いたごはんが冷えていくと、ほどけていた分子の一部がふたたび寄り集まって並び直します。これをでんぷんの老化といいます。冷やごはんが固くなるのは、このためです。

この並び直した部分の一部は、小腸の消化酵素で分解されにくくなり、そのまま大腸まで届きます。これがレジスタントスターチの一種です。大腸では腸内細菌のエサになり、食物繊維に近いはたらきをすると考えられています。

冷えると、でんぷんの鎖の一部が束になって並び直し、消化されにくい部分が増える
冷えると、でんぷんの鎖の一部が束になって並び直し、消化されにくい部分が増える

02冷蔵+温め直しで、血糖値の上がり方がゆるやかに?

冷やして温め直しても、レジスタントスターチはある程度残るようです。

03でも、別の研究では「差なし」

ところがどんでん返しがあります。2013年の別の研究では、お米の種類や炊き方を変え、3日間冷蔵してから温め直したごはんで比べました。レジスタントスターチが最も多いごはん(100gあたり2.55g)と、最も少ないごはん(0.20g)を健康な成人21人に食べてもらったところ、血糖値の上がり方にはっきりした差は出ませんでした。

研究者たちは「お米にもともと含まれる程度のレジスタントスターチでは、血糖値や食欲への影響は小さい」と結論づけています。

どちらも参加者が十数〜二十人ほどの小さな研究で、結論を出すにはまだ足りません。そもそも冷やして増える量は100gあたり1g前後。ごはん1杯(約150g)のでんぷんは50g前後なので、ほんの一部です。

04まとめ

冷やごはんでレジスタントスターチが増えるのは本当です。でも、増える量は少しで、血糖値への効果は研究によって割れているのが現状でした。

冷やごはんは「健康の裏ワザ」というより、おにぎりやお弁当をおいしく食べる日常の知恵くらいに考えておくのがよさそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPut leftover rice in the fridge overnight, and its starch slowly changes. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Put leftover rice in the fridge overnight, and its starch slowly changes. As the rice cools, some starch molecules pack tightly together again. The small intestine has trouble breaking down this part, so it is called resistant starch. This is why cold rice is said to be better for blood sugar.

Two studies have tested the idea. In a 2015 study in Indonesia, rice that was chilled for 24 hours and then reheated had more resistant starch than freshly cooked rice. The 15 adults who ate it showed a smaller rise in blood sugar.

But a 2013 study with 21 adults found no clear difference. Both were small studies. And the extra resistant starch is only about one gram per 100 grams of rice.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

残ったごはんを冷蔵庫にひと晩入れておくと、でんぷんがゆっくり変化します。ごはんが冷えるにつれて、でんぷんの分子の一部がふたたびぎっしりと寄り集まります。小腸はこの部分をうまく分解できないので、これはレジスタントスターチと呼ばれます。冷たいごはんは血糖値に良いと言われるのはこのためです。

この考えを確かめた研究が2つあります。インドネシアで行われた2015年の研究では、24時間冷やしてから温め直したごはんは、炊きたてのごはんよりもレジスタントスターチが多く含まれていました。それを食べた15人の成人は、血糖値の上昇が小さくなりました。

しかし、21人の成人を対象にした2013年の研究では、はっきりした差は見られませんでした。どちらも小規模な研究です。それに、増えるレジスタントスターチは、ごはん100gあたり1gほどにすぎません。

4択リーディングクイズ

Q1. In the 2015 study, what kind of rice was compared with freshly cooked rice?

Q2. What did the 2013 study find?

Q3. What is the writer's attitude toward the claim that cold rice is healthier?

重要単語

  • starchB2
    名詞でんぷんRice is rich in starch. 洗濯の「のり」も starch。starchy food(でんぷん質の食品)も覚えておく。
  • resistantB2
    形容詞抵抗する、~されにくいResistant starch is not easily digested. resist(抵抗する)の形容詞。water-resistant(耐水性の)、be resistant to ~ の形で頻出。
  • digestB2
    動詞消化するIt takes time to digest a big meal. 名詞は digestion。比喩で「(情報を)理解する」の意味もある。
  • blood sugarB1
    名詞(句)血糖(値)Blood sugar rises after eating rice. 学術的には blood glucose。a spike in blood sugar「血糖値の急上昇」。
  • reheatB1
    動詞温め直すYou can reheat the rice in the microwave. re-(再び)+heat。rewrite / rebuild と同じ作りの語。
  • portionB1
    名詞(食べ物の)1人前、量Portion size matters more than temperature. portion size「1回に食べる量」は栄養の文脈で頻出。「部分」の意味もある。
冷やごはんで「レジスタントスターチ」が増えるのは本当らしい。冷蔵して温め直したごはんで血糖値の上昇がゆるやかになった研究もあるけど、差が出なかった研究も。過度な期待は禁物かも。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Sonia et al. (2015) Effect of cooling of cooked white rice on resistant starch content and glycemic response, Asia Pacific Journal of Clinical Nutritionpubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Chiu & Stewart (2013) Effect of variety and cooking method on resistant starch content of white rice and subsequent postprandial glucose response and appetite in humans, Asia Pacific Journal of Clinical Nutritionpubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Englyst, Kingman & Cummings (1992) Classification and measurement of nutritionally important starch fractions, European Journal of Clinical Nutritionpubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  4. Birt et al. (2013) Resistant starch: promise for improving human health, Advances in Nutritiondoi.org