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潮の満ち引きが1日2回なのはなぜ?月の「反対側」の海までふくらむ不思議

潮の満ち引きが1日2回なのはなぜ?月の「反対側」の海までふくらむ不思議

読む前に予想してみよう!

海が月に引っぱられてふくらむのは、月に面している側だけだ

研究カード(どんな研究?)
対象
地球の海と月・太陽
規模
長期の潮位観測と天体力学
研究の種類
観測と物理理論
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

月の引力は地球の場所ごとに強さが違い、その差で海が月の側と反対側の2か所でふくらむ。地球がその下を回るので、満潮は1日に約2回、約12時間25分おきに来る。

ひとことで言うと月の引っぱる力の「差」で、海が2か所ふくらむ!

もくじ
  1. カギは引っぱる力の「差」
  2. だから満潮は約12時間25分おき
  3. 太陽も潮を作っている
  4. 大昔は、1日が今より短かった
  5. 潮のリズムと生き物
  6. まとめ

海に行くと、朝は遠くまで干上がっていた砂浜が、夕方には波の下にかくれていることがあります。潮の満ち引きです。

その原因が月にあることは、聞いたことがあるかもしれません。でも、ここで一つ疑問がわきます。

月が海を引っぱるなら、満潮は月に面した側の1回だけでは? なぜ、満潮は1日に2回あるのでしょうか。

01カギは引っぱる力の「差」

月の引力は、月に近いほど強く、遠いほど弱くなります。地球の直径は約1万3,000km。月に面した側と反対側とでは、月までの距離がこれだけ違います。

その結果、

  • 月に面した側の海:地球の中心より強く月に引っぱられる → 月の方へふくらむ
  • 地球の中心:その中間の強さで引っぱられる
  • 月と反対側の海:地球の中心より弱くしか引っぱられない → 取り残されるように、反対側へふくらむ

つまり、地球全体が月の方へ引っぱられる中で、手前の海は先に、奥の海は遅れて引っぱられる。その「差」が、2つのふくらみを作るのです。この差の力を潮汐力と呼びます。

引っぱる力の差で、海は「両側」にふくらむ
引っぱる力の差で、海は「両側」にふくらむ

02だから満潮は約12時間25分おき

地球は1日1回自転しているので、ある海岸は、この2つのふくらみの下を順番に通過します。だから満潮が2回、干潮も2回来るのです。

実際の海では、海底の地形や大陸の形の影響で、1日1回しか満潮がない場所や、満ち引きがとても大きい湾もあります。

03太陽も潮を作っている

太陽も潮汐力を持っています。太陽は月よりはるかに重いのですが、とても遠いため、潮を作る力は月の半分弱です。

  • 新月・満月のころ:太陽・月・地球が一直線になり、力が重なって大潮(満ち引きが大きい)
  • 半月のころ:力が直角方向にずれ、小潮(満ち引きが小さい)

04大昔は、1日が今より短かった

潮汐は、地球の自転にブレーキをかけています。そのため、1日は少しずつ長くなり、月は少しずつ遠ざかっています。アポロが月に置いた反射鏡にレーザーを当てた測定では、月は1年に約3.8cmずつ遠ざかっています。

オーストラリアの地質学者ウィリアムズ(Williams)さんの2000年の研究では、約6億2,000万年前の地層に残った潮の縞模様から、当時の1日は約22時間、1年は約400日だったと推定されています。

05潮のリズムと生き物

潮の満ち引きは、海の生き物の暮らしにも深く関わっています。干潟のカニの多くは、潮が引いた時間にえさを探し、満ちてくると巣穴にもどります。二枚貝は、水にひたる満潮のころにえさをこし取ります。サンゴの中には、満月のころに一斉に産卵する種類もいます。

人間の暮らしにとっても、潮のリズムは大切です。漁業や港での船の出入り、潮干狩りの計画まで、潮の予報は欠かせない情報になっています。

06まとめ

満潮が1日2回あるのは、月の引っぱる力の「差」が、地球の手前と奥の両側の海をふくらませるからでした。

そして、そのわずかな力が、何億年もかけて1日の長さまで変えてきた。海辺で潮が満ちてくるのを見たら、その向こうにいる月を思い浮かべてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do most beaches have two high tides a day instead of one? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why do most beaches have two high tides a day instead of one? The key is the difference in the Moon's pull. Gravity becomes weaker with distance, and Earth is about 13,000 kilometers wide.

So the ocean facing the Moon is pulled more strongly than Earth's center, and it moves toward the Moon. The ocean on the far side is pulled less strongly than the center, so it is left behind and forms a second bulge. This difference is called the tidal force.

As Earth turns, a coast passes under both bulges. Because the Moon also moves around Earth, a lunar day lasts 24 hours and 50 minutes. That is why high tides come about every 12 hours and 25 minutes.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

なぜ多くの海辺では満潮が1日1回ではなく2回あるのでしょうか。カギは月の引っぱる力の差です。重力は距離とともに弱くなり、地球の幅は約1万3000キロメートルあります。

そのため、月に面した海は地球の中心より強く引っぱられ、月の方へ動きます。反対側の海は中心より弱くしか引っぱられないので、取り残されて2つ目のふくらみを作ります。この差は潮汐力と呼ばれます。

地球が回るにつれて、海岸は両方のふくらみの下を通過します。月も地球のまわりを回っているので、「月の1日」は24時間50分です。だから満潮はおよそ12時間25分おきに来るのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the "tidal force" in the passage?

Q2. How long is a lunar day?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • tideB1
    名詞潮、潮の満ち引きThe tide comes in twice a day. high tide(満潮)/low tide(干潮)。比喩で the tide of history(歴史の流れ)、turn the tide(形勢を逆転させる)も入試頻出。
  • high tideB1
    名詞(句)満潮Fishing boats leave at high tide. 前置詞は at high tide。反対は at low tide。
  • bulgeC1
    名詞・動詞ふくらみ/ふくらむThe ocean forms a bulge on each side of Earth. budget(もとは「小さな革袋」)と同じく、「革袋」を意味する古フランス語 bouge、さらにさかのぼるラテン語 bulga が語源。ポケットが「ぽっこりふくらむ」イメージ。ポケットが「ぽっこりふくらむ」イメージ。
  • spring tideC1
    名詞(句)大潮Spring tides happen at the new moon and full moon. 季節の「春」ではなく spring(わき上がる)の意味。反対は neap tide(小潮)。
  • gravitational pullB2
    名詞(句)引力The Moon's gravitational pull causes the tides. gravity(重力)の形容詞 gravitational + pull(引くこと)。exert a gravitational pull on ~「~に引力を及ぼす」。
  • rotateB2
    動詞回転する・自転するEarth rotates once a day. 自転は rotate、公転は revolve / orbit と区別する。名詞は rotation。
  • simplificationC1
    名詞単純化The two-bulge model is a useful simplification. simplify(単純化する)の名詞形。an oversimplification(単純化しすぎ)は評論文で頻出。

動画でもっと知る

潮の満ち引きって、なんで1日2回なんだろう?月に引っぱられるなら、月の側だけふくらみそうなのに。じつは月の「反対側」の海もふくらんでいるらしい。カギは引っぱる力の「差」。しかも満潮は毎日約50分ずつ遅れていく。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. NOAA National Ocean Service: Tides and Water Levels, Frequency of Tides – The Lunar Dayoceanservice.noaa.gov
  2. NOAA National Ocean Service: Tides and Water Levels, What Causes Tides?oceanservice.noaa.gov
  3. Williams (2000) Geological constraints on the Precambrian history of Earth's rotation and the Moon's orbit, Reviews of Geophysicsdoi.org
  4. Dickey et al. (1994) Lunar Laser Ranging: A Continuing Legacy of the Apollo Program, Sciencedoi.org