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木星の大赤斑が縮んでいる。地球3個分から1.3個分へ、巨大な嵐に何が?

木星の大赤斑が縮んでいる。地球3個分から1.3個分へ、巨大な嵐に何が?

読む前に予想してみよう!

木星の大赤斑は、何百年も同じ大きさのまま続いている

研究カード(どんな研究?)
対象
木星の大赤斑
規模
約150年分の観測記録+探査機・望遠鏡
研究の種類
長期観測の解析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

木星の嵐「大赤斑」は1800年代末に幅約4万1000kmあったが、2010年代には約1万6000kmに。消えるのか小さく落ち着くのかは、まだわからない。

ひとことで言うと木星の大きなうずまき「大赤斑」は、100年ちょっとで半分以下に小さくなったよ。

もくじ
  1. 100年で「半分以下」に
  2. 縮んだぶん「背が高く」なった?
  3. 嵐の深さは「500km」
  4. どんでん返し:350年前の「赤い斑点」とは別人?
  5. まとめ

木星の写真で、いちばん目立つ赤いうずまき。あれは大赤斑(だいせきはん)と呼ばれる、巨大な嵐です。

ところがこの嵐、どんどん縮んでいるって知っていましたか?1800年代の終わりには地球が3つ以上横に並ぶほどの幅があったのに、2014年の観測では地球1.3個分くらい。100年あまりで、半分以下になってしまいました。

01100年で「半分以下」に

大赤斑の大きさは、昔から望遠鏡で記録されてきました。NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)が2014年に発表した数字を並べると、縮み方がよくわかります。

  • 1800年代の終わり:幅 約4万1000km
  • 1979年(探査機ボイジャー):約2万3300km
  • 2014年(ハッブル宇宙望遠鏡):約1万6500km

地球の直径は約1万2700kmなので、いまでも地球がすっぽり入る大きさではあります。でも、かつての姿と比べると、ずいぶん小さくなりました。

02縮んだぶん「背が高く」なった?

おもしろいのは、大赤斑がただ小さくなっているわけではないことです。

サイモンらの分析では、幅が縮む一方で、雲の高さは上に伸びているかもしれないという手がかりも見つかりました。ちょうど、粘土を横からぎゅっと押すと上にふくらむようなイメージです。

さらに2024年には、ハッブルの連続観測で、大赤斑が約90日の周期で大きさを変えながら揺れていることも報告されました。巨大な嵐は、まるで生き物のように形を変えているのです。

大赤斑は100年あまりで横幅が半分以下に。形も丸くなってきた
大赤斑は100年あまりで横幅が半分以下に。形も丸くなってきた

03嵐の深さは「500km」

木星を回るNASAの探査機ジュノーは、大赤斑の真上を飛んで、その深さも調べました。

NASAジェット推進研究所のパリージらは2021年、ジュノーが測った重力のわずかな変化から、大赤斑の深さを最大でも約500kmと見積もりました。幅1万6000kmに対して深さ500km。巨大な嵐は、意外にもうすいパンケーキのような形をしていたのです。

04どんでん返し:350年前の「赤い斑点」とは別人?

大赤斑は「1665年ごろにカッシーニが見つけて以来、350年以上続く嵐」と紹介されることがよくあります。

ところが2024年、スペイン・バスク大学のサンチェス=ラベガらは、古い記録を見直して異論を出しました。カッシーニが見た斑点は1713年ごろを最後に記録が途絶え、いまの大赤斑がはっきり記録されるのは1831年以降。両者は別の嵐である可能性が高い、というのです。

つまり、いまの大赤斑の年齢は「350歳以上」ではなく、190歳くらいかもしれません。

05まとめ

  • 木星の大赤斑は、1800年代末から幅が半分以下に縮んだ
  • 形は丸くなり、90日周期で揺れるようすも見つかった
  • 「350年前から続く嵐」説には異論があり、いまの大赤斑は約190歳かもしれない

太陽系最大の嵐も、永遠ではないのかもしれません。数十年後、木星の写真から赤い目玉が消えていたら……そんな未来を想像しながら、今夜の木星を見上げてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Great Red Spot is a huge storm on Jupiter, and it has been shrinking for more than a century. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Great Red Spot is a huge storm on Jupiter, and it has been shrinking for more than a century. In the late 1800s, it was about 41,000 kilometers across, wide enough to hold more than three Earths side by side. By 2014, the Hubble Space Telescope measured it at about 16,500 kilometers.

A NASA study published in 2018 found that the storm was also becoming rounder and that its clouds might be growing taller. NASA's Juno spacecraft showed that the storm is up to about 500 kilometers deep, so it is shaped more like a thin pancake than a tower. Scientists still do not know whether it will disappear or settle at a smaller size.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

大赤斑は木星にある巨大な嵐で、100年以上にわたって縮み続けています。1800年代の終わりには幅が約4万1000キロメートルあり、地球を3つ以上横に並べられるほどの大きさでした。2014年までに、ハッブル宇宙望遠鏡はその幅を約1万6500キロメートルと測定しました。2018年に発表されたNASAの研究では、嵐が丸みを帯びてきていること、そして雲が高くなっているかもしれないことが分かりました。

NASAの探査機ジュノーは、嵐の深さが最大約500キロメートルであることを示しました。つまり、塔というより薄いパンケーキのような形をしているのです。この嵐が消えるのか、もっと小さなサイズで落ち着くのか、科学者にもまだ分かっていません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. According to the passage, how deep is the storm?

Q3. Why does the writer compare the storm to "a thin pancake"?

重要単語

  • stormA2
    名詞嵐The Great Red Spot is a giant storm. a storm hits ~「嵐が~を襲う」。brainstorm(ブレインストーミング)も「頭の中の嵐」から。
  • shrinkB2
    動詞縮むThe storm has been shrinking for decades. 活用は shrink-shrank-shrunk。セーターが洗濯で縮むときにも使う。
  • anticycloneC1
    名詞高気圧性の渦The Great Red Spot is an anticyclone. anti-(反対)+cyclone(低気圧の渦)。回転の向きが低気圧と逆。
  • oscillateC1
    動詞振動する、揺れ動くThe storm oscillates in size every 90 days. oscillate between A and B「AとBの間で揺れ動く」。気持ちが揺れる意味でも使う。
  • eddyC1
    名詞小さな渦Small eddies feed energy into the storm. 川や風の小さな渦巻き。大きな渦は vortex(ヴォーテックス)。
  • diameterB2
    名詞直径Its diameter is larger than Earth's. dia-(横切って)+meter(測る)。半径は radius。
  • contractB2
    動詞縮む、収縮するThe storm has been contracting for over a century. 名詞の「契約」と同じつづり。動詞「縮む」は con-(共に)+tract(引く)=引き寄せて縮む。
木星の巨大な嵐「大赤斑」が縮んでいる。1800年代末は幅約4万1000kmで地球3個分以上あったのに、ハッブルの観測では約1万6000km。しかも“いまの大赤斑”は、350年前に見つかった斑点とは別物かもしれないらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Simon et al. (2018) Historical and Contemporary Trends in the Size, Drift, and Color of Jupiter's Great Red Spot, The Astronomical Journaldoi.org
  2. Sánchez-Lavega et al. (2024) The Origin of Jupiter's Great Red Spot, Geophysical Research Lettersdoi.org
  3. Parisi et al. (2021) The depth of Jupiter's Great Red Spot constrained by Juno gravity overflights, Sciencedoi.org
  4. Simon et al. (2024) A Detailed Study of Jupiter's Great Red Spot over a 90-day Oscillation Cycle, The Planetary Science Journaldoi.org
  5. ESA/Hubble, The shrinking of Jupiter's Great Red Spot (2014)esahubble.org