ウソ?ホント?検証ウソ

「雷は同じ場所に二度落ちない」はウソ。年に20回以上打たれるビルがある

「雷は同じ場所に二度落ちない」はウソ。年に20回以上打たれるビルがある

読む前に予想してみよう!

一度雷が落ちた場所には、しばらく雷は落ちない

研究カード(どんな研究?)
対象
高層建築物への落雷
規模
長期の観測記録
研究の種類
観測研究・公的機関の解説
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

雷は高くとがった場所に落ちやすく、同じ場所に何度でも落ちる。ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルは年に20回以上も打たれている。

ひとことで言うと雷は「同じ場所がお気に入り」。高い所には何度でも落ちるよ!

もくじ
  1. 年に20回以上打たれるビル
  2. 雷が「同じ場所」を好む理由
  3. 7回雷に打たれて生き延びた人
  4. なぜ「二度落ちない」と信じられたの?
  5. まとめ

「雷は同じ場所に二度落ちないから、さっき落ちた木の下が一番安全だよ」

こんな話を聞いたことはありませんか? 英語にも「Lightning never strikes twice」ということわざがあり、「めったにない不運は二度起きない」という意味で使われています。

でも、気象学者に聞けば即答です。雷は、同じ場所に平気で何度も落ちます。それどころか、雷には「お気に入りの場所」があるのです。

01年に20回以上打たれるビル

ニューヨークの超高層ビル、エンパイア・ステート・ビル。高さ約380m(アンテナを除く)のこのビルは、アメリカ国立気象局によると平均して年に20回以上も雷に打たれています。1回の嵐で何度も打たれることさえあるのです。

日本でも、東京スカイツリーのような高い建物や、山の上の鉄塔には雷がよく落ちることが知られています。だからこそ、高い建物には避雷針(=雷をわざと受け止めて、電気を安全に地面へ逃がす金属の棒)が取りつけられているのです。

02雷が「同じ場所」を好む理由

雷の正体は、雷雲にたまった電気が一気に地面へ流れる現象です。

電気は通りやすい道を選びます。地面から高く突き出たもの、とがったものは、雲との距離が近く、電気の通り道になりやすい。そして、そうした場所は嵐が来るたびに同じ条件のまま、そこにあり続けます。

周りより高いもの、とがったものに雷は落ちやすい。条件が変わらなければ、何度でも
周りより高いもの、とがったものに雷は落ちやすい。条件が変わらなければ、何度でも

だから「前に落ちたから、もう安全」ではなく、むしろ「前に落ちた場所は、また落ちやすい」と考えるほうが正しいのです。

037回雷に打たれて生き延びた人

アメリカの国立公園で働いていた森林警備員ロイ・サリバンさんは、生涯で7回雷に打たれて、すべて生き延びたとしてギネス世界記録に認定されています。

もちろん彼は例外中の例外。ですが、外で働く時間が長く、雷の多い山の中にいることが多かったことを考えると、「同じ人・同じ場所に何度も」は決してあり得ない話ではないのです。

04なぜ「二度落ちない」と信じられたの?

ひとつは、ことわざの影響です。もともとは「珍しい不運は繰り返さない」というたとえ話でした。それがいつの間にか、雷の性質そのものの話として受け取られるようになったと考えられます。

もうひとつは、身の回りの多くの場所では、雷が落ちること自体がめったにないから。めったにないことが「二度」起きる場面を目にしないので、「二度はない」と感じてしまうのです。

05まとめ

  • 雷は高くとがった場所に落ちやすく、同じ場所に何度でも落ちる
  • エンパイア・ステート・ビルは平均で年に20回以上打たれている
  • 「二度落ちない」はことわざのたとえ。雷の性質としてはウソ

次に「雷は同じ場所に落ちないから」と聞いたら、こう返しましょう。「いや、むしろ常連さんがいるんだよ」と。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn English, people say "lightning never strikes twice" to mean that rare bad luck does not happen again. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In English, people say "lightning never strikes twice" to mean that rare bad luck does not happen again. As a fact about weather, however, the saying is wrong. According to the US National Weather Service, the Empire State Building is struck more than 20 times a year on average. It can even be hit several times in a single storm.

Lightning is electricity rushing from a cloud to the ground, and it tends to take the easiest path. Tall, pointed objects are closer to the clouds, so they are hit more often, and they stay in the same place for every storm. That is why tall buildings have lightning rods. One US park ranger, Roy Sullivan, was struck seven times in his life and survived each time.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語では、めったにない不運は二度と起こらないという意味で「雷は二度落ちない」と言います。しかし、天気についての事実としては、このことわざは間違っています。米国立気象局によると、エンパイア・ステート・ビルは平均して年に20回以上雷に打たれ、1回の嵐で何度か打たれることもあります。雷は雲から地面へと一気に流れる電気であり、最も通りやすい道を通る傾向があります。

高くとがったものは雲に近いので、より頻繁に打たれ、しかも嵐のたびに同じ場所にあり続けます。だから高い建物には避雷針があるのです。アメリカのある公園警備員ロイ・サリバンさんは、生涯で7回も雷に打たれ、毎回生き延びました。

4択リーディングクイズ

Q1. What does the saying "lightning never strikes twice" originally mean?

Q2. Why are tall, pointed objects hit more often?

Q3. What can we infer from the story of Roy Sullivan?

重要単語

  • lightningB1
    名詞雷、稲妻Lightning can strike the same building many times. lighting(照明)とつづりを混同しやすい。thunder は「雷鳴(音)」。
  • strikeB1
    動詞(雷が)落ちる、打つLightning struck the tower twice in one storm. 活用は strike-struck-struck。「(考えが)浮かぶ」It struck me that ~ も頻出。
  • lightning rodB2
    名詞(句)避雷針A lightning rod guides electricity safely into the ground. 比喩で「批判の矢面に立つ人」の意味にもなる。rod は「棒」。
  • thunderstormA2
    名詞雷雨Stay indoors during a thunderstorm. thunder(雷鳴)+storm(嵐)。天気予報の頻出語。
  • proverbB2
    名詞ことわざThe proverb is about bad luck, not physics. as the proverb goes「ことわざにあるように」。saying もほぼ同義。
  • dischargeC1
    名詞・動詞放電、排出(する)Lightning is a huge electrical discharge. dis-(反対)+charge(充電)。「退院させる」の意味もある多義語。
  • literallyB2
    副詞文字どおりにThe proverb should not be taken literally. take ~ literally「~を文字どおりに受け取る」。反対は figuratively(比喩的に)。

動画でもっと知る

4コマでわかる

「雷は同じ場所に二度落ちない」はウソ。年に20回以上打たれるビルがあるの4コマ漫画
「雷は同じ場所に二度落ちない」って、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルは平均で年に20回以上も雷に打たれてるらしい。しかも7回雷に打たれて生き延びた人までいる。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. 米国立気象局(NWS)Lightning Mythsweather.gov
  2. McEachron (1939) Lightning to the Empire State Building, Journal of the Franklin Institutedoi.org
  3. Rakov & Uman (2003) Lightning: Physics and Effects, Cambridge University Pressdoi.org