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散らかった部屋はストレスのもと? でも「汚部屋は創造的」という研究まであった

散らかった部屋はストレスのもと? でも「汚部屋は創造的」という研究まであった

読む前に予想してみよう!

散らかった部屋は、どんな場合でも作業の成果を下げることが分かっている

研究カード(どんな研究?)
対象
共働き夫婦・大学生など
規模
数十人〜千人規模
研究の種類
観察研究・実験室実験・調査
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

共働き夫婦の妻のうち、家を「散らかっている」と語る人ほどストレスホルモンの変化が悪いという研究がある一方、散らかった部屋でアイデアが斬新になった実験も。「汚い=悪」とは限らない。

ひとことで言うと片付いた部屋は心が落ち着く。でも、散らかった部屋にもいいところがあるかも!

もくじ
  1. 家の話し方でストレスが分かる?
  2. 脳は「目に入るもの全部」と戦っている
  3. 逆転の発想:散らかった部屋は創造的?
  4. まとめ

床に積まれた服、机の上の書類の山、いつか読むつもりの本。

「片付けなきゃ」と思いながら、つい見て見ぬふり……。そんな部屋にいると、なんとなく気持ちが落ち着かないこと、ありませんか?

じつは散らかった部屋とストレスの関係は、心理学や脳科学で調べられてきました。でも、結論は意外と一筋縄ではいかないんです。

01家の話し方でストレスが分かる?

この分野でよく紹介されるのが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のダービー・サックスビーとリーナ・レペッティの研究です。

コルチゾールは、ふつう朝に多く、夜に向けて下がっていくのが健康的なパターンとされています。

ところが、家を「散らかっている」「片付いていない」「やりかけ」といった言葉で多く表現した妻たちは、

  • 1日を通してコルチゾールが下がりにくいパターンを示した
  • 気分の落ち込みが、夕方に向けて強くなる傾向があった

という結果でした。

ただしこれは「散らかり」と「ストレス」がいっしょに見られたという研究で、散らかりが原因でストレスが増えたとまでは言えません。忙しくてストレスが多いから片付けられない、という逆の可能性もあります。また、関連が見られたのは妻たちだけで、夫たちでははっきりしませんでした。

大人を対象にした別の調査(Roster ら、2016年)でも、家のモノの散らかりが多い人ほど、「家にいて心地よい」という感覚が低い傾向が報告されています。

02脳は「目に入るもの全部」と戦っている

もう少し脳の仕組みに近い研究もあります。

プリンストン大学のマクメインズとカストナーは、2011年の研究で、視界に多くのものがあると、それらが脳の中で処理の容量を奪い合い、互いの反応を弱め合うことを示しました。

この研究は脳の視覚野の活動を調べた実験で、散らかった部屋や学習成績を直接調べたものではありませんが、散らかった机で勉強していると、目の端に入るマンガやスマホが、知らないうちに脳の処理能力を少しずつ食べているのかもしれません。

視界の中のモノたちは、脳の処理能力を奪い合っている
視界の中のモノたちは、脳の処理能力を奪い合っている

03逆転の発想:散らかった部屋は創造的?

ここで、ちょっと意外な研究を紹介します。

2013年、ミネソタ大学のキャスリーン・ヴォースらは、きれいに片付いた部屋と散らかった部屋で参加者に課題をしてもらいました。

  • 片付いた部屋の人は、おやつにリンゴを選びやすく、寄付もしやすかった
  • 散らかった部屋の人は、ピンポン玉の新しい使い道を考える課題で、より独創的なアイデアを出した

つまり、整った環境は「ちゃんとしよう」という気持ちを、散らかった環境は「型を破ろう」という気持ちを引き出すのかもしれない、という結果です。ただし、このような研究は追試で結果が揃わないこともあるため、効果の大きさは慎重に見る必要があります。

04まとめ

散らかった部屋は、脳の処理に負担をかけ、ストレスと結びつきやすい可能性があります。でも「散らかり=悪」と決めつける必要はありません。

集中したいときは片付いた机、アイデアを広げたいときは少し自由な机。目的に合わせて部屋の状態を選ぶのが、いちばん賢いやり方かもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCan a cluttered home affect your stress level? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Can a cluttered home affect your stress level? In a 2010 study, Darby Saxbe and Rena Repetti asked working couples to give a tour of their homes and analyzed the words they used. They also measured cortisol, a stress hormone that normally drops from morning to evening. Wives who often described their homes as messy or unfinished showed a flatter cortisol pattern and a more depressed mood toward evening.

However, this was a correlation, and the link was not clear for husbands. It is also possible that stress makes people too busy to tidy up. A 2013 experiment, on the other hand, found that people in a messy room came up with more creative uses for a ping-pong ball.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

散らかった家は、ストレスの度合いに影響するのでしょうか。2010年の研究で、ダービー・サックスビーとリーナ・レペッティは共働きの夫婦に自宅を案内してもらい、彼らが使った言葉を分析しました。また、通常は朝から夜にかけて下がっていくストレスホルモン、コルチゾールも測定しました。自分の家を散らかっている、やりかけだと表現することが多かった妻たちは、コルチゾールの変化がより平らなパターンを示し、夕方に向けて気分がより落ち込みました。

しかし、これは相関であり、夫たちでは関連がはっきりしませんでした。また、ストレスのせいで忙しすぎて片付けられない、という可能性もあります。一方、2013年の実験では、散らかった部屋にいた人の方が、ピンポン玉のより独創的な使い道を思いつきました。

4択リーディングクイズ

Q1. What does cortisol normally do during the day?

Q2. Which statement about the 2010 study is true?

Q3. What does the author suggest by saying "stress makes people too busy to tidy up"?

重要単語

  • clutterC1
    名詞散らかり、ガラクタClutter on my desk distracts me. 動詞としても使い、be cluttered with ~「~で散らかっている」。declutter「片付ける」も最近よく使われる。
  • cortisolC1
    名詞コルチゾール(ストレスホルモン)Cortisol usually drops toward evening. 副腎(cortex)から出るホルモン。stress hormone と言い換えられることが多い。
  • correlationC1
    名詞相関Correlation does not prove causation. co-(共に)+relation(関係)。相関は因果ではない、という指摘は科学系長文の頻出ポイント。
  • distractionB2
    名詞気が散るものMy phone is my biggest distraction. 動詞 distract A from B「AをBから気をそらす」。dis-(離れて)+tract(引く)。
  • creativityB2
    名詞創造性A messy room may boost creativity. 形容詞 creative。動詞 create。boost creativity「創造性を高める」のコロケーションで覚える。
  • tidyB1
    形容詞・動詞きちんとした/片付けるI tidy up my desk every evening. tidy up「片付ける」。反対語 messy / untidy。イギリス英語でよく使う。
  • drainB2
    動詞(力などを)消耗させる、流出させるLong meetings drain my energy. 原義は「排水する」。brain drain「頭脳流出」も入試頻出。
共働き夫婦の妻では、自分の家を「散らかってる」と話す人ほど、ストレスホルモンの1日の変化が悪いパターンだったという研究がある。でも別の実験では、散らかった部屋の方がアイデアが斬新になったらしい。片付けは目的しだい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Saxbe & Repetti (2010) No place like home: Home tours correlate with daily patterns of mood and cortisol, Personality and Social Psychology Bulletindoi.org
  2. McMains & Kastner (2011) Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex, The Journal of Neurosciencedoi.org
  3. Vohs, Redden & Rahinel (2013) Physical order produces healthy choices, generosity, and conventionality, whereas disorder produces creativity, Psychological Sciencedoi.org
  4. Roster, Ferrari & Jurkat (2016) The dark side of home: Assessing possession 'clutter' on subjective well-being, Journal of Environmental Psychologydoi.org