友達は150人が限界? 有名な「ダンバー数」に、別の研究チームが本気でツッコんだ

読む前に予想してみよう!
「ダンバー数=150人」は、科学的に完全に確定した数字だ
再分析では推定の幅が非常に広く、150人という数字を特定できないとする研究がある。
- 対象
- 霊長類の脳と群れのデータ(再分析)
- 規模
- 多数の霊長類
- 研究の種類
- 系統比較の統計再分析
- 確かさ
- ★★☆☆☆
脳の大きさから「安定した人間関係は約150人まで」と予測したダンバー数。でも新しいデータと手法で計算し直すと、数人〜数百人まで幅が広すぎるという反論が出た。
ひとことで言うと「友達は150人まで」説は、まだ答えが決まっていない!
スマホの連絡先、SNSのフォロワー。数百人、数千人とつながっている人も珍しくありません。
でも、その中で「本当に関係が続いている人」は何人いますか?
イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、その上限を約150人と予測しました。いわゆるダンバー数です。ところが最近、この有名な数字に、別の研究チームから鋭いツッコミが入りました。
01サルの脳から人間の友達の数を予測
ダンバーが注目したのは、サルや類人猿の脳です。
つまり「人間関係を覚えて管理するには脳の容量が必要。だから付き合える人数には限界がある」という考え方です。
さらにダンバーは、人間関係には5人・15人・50人・150人という層(レイヤー)がある、とも提案しました。いちばん内側が親友や家族、外側にいくほど「知り合い」に近づくイメージです。
02150人は昔の村や軍隊にも?
ダンバーの説が人気になったのは、現実の集団とよく合うように見えたからです。
狩猟採集民の集団、昔の村の人口、軍隊の中隊の人数などが、おおむね150人前後になる例が紹介されました。会社でも「150人を超えると組織がうまく回らない」と考えて、チームを分ける企業があるほどです。

032021年の再計算で「幅が広すぎる」
ところが2021年、スウェーデンのストックホルム大学の研究チーム(Lindenfors ら)が、より新しい霊長類のデータと統計手法でダンバー数を計算し直しました。
その結果は……
- 推定される平均の群れの大きさは、手法によって十数人〜100人程度とバラバラ
- 推定の幅(信頼区間:答えがだいたいこの範囲にありそうという幅)は数人から500人以上にまで広がった
研究チームは、「150人」という特定の数字を霊長類のデータから導くのは難しいと結論づけました。
批判のポイントは、ほかにもあります。人間の脳は新皮質だけで人間関係を処理しているわけではありませんし、人間は文字やスマホなどの道具を使って、記憶の外に人間関係を「保存」することもできます。サルの群れと同じ物差しで人間を測ること自体に、限界があるのかもしれません。
04ダンバー側の根拠と、今わかっていること
もちろん、ダンバー側には支持する根拠もあります。たとえばイギリスでクリスマスカードの送り先を調べた研究(Hill と Dunbar、2003年)では、カードを送る相手の人数が平均150人前後(実際に連絡があった人に絞ると約125人)になりました。ほかにも、さまざまな人間集団のデータを分析して5・15・50・150人のような層構造が見つかったという報告があります。
一方で、人間関係の数には個人差がとても大きいことも分かっています。社交的な人、少数の深い付き合いを好む人。どちらが正しいというわけではありません。
05まとめ
ダンバー数は、「人の付き合いには何らかの限界がありそう」という大事な発想を広めました。でも「150人」という数字そのものは、まだ議論の真っ最中です。
あなたの大切な人は何人いますか? 数よりも、その人たちの顔が浮かぶかどうかの方が、きっと大事なはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDunbar's number says that people can keep only about 150 stable relationships.
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原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
How many friends can one person really keep? A British scientist, Robin Dunbar, said about 150. He studied monkeys and apes. Animals with a bigger part of the brain for thinking lived in bigger groups. He used this idea to guess the number for humans.
But in 2021, another team checked his math with new data. Their answers were very different, from a few people to over 500. So the number 150 is still not certain.
76 words ・ CEFR A2
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一人の人は、本当に何人の友達を保てるのでしょうか。イギリスの科学者ロビン・ダンバーは、約150人だと言いました。彼はサルや類人猿を研究しました。考えるための脳の部分が大きい動物ほど、大きな群れで暮らしていました。彼はこの考えを使って、人間の場合の数を推測しました。
しかし2021年、別のチームが新しいデータで彼の計算を確かめました。彼らの答えは、数人から500人以上まで、大きくばらばらでした。ですから、150という数字はまだ確かではありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
「人は約150人まで」というダンバーの説と、それへの疑問がテーマなので A。
Q2. What did Dunbar study to make his guess?
He studied monkeys and apes. とあるので D。
Q3. In this passage, "certain" means ...
certain は「確かな」。推定値がばらばらなので「まだ確かではない」という文脈から C。
Dunbar's number says that people can keep only about 150 stable relationships. In 1992, British anthropologist Robin Dunbar compared many types of primates and found that species with a larger neocortex, the outer part of the brain, tended to live in larger groups. When he applied this pattern to humans, he predicted a group size of about 150. The idea became popular because it seemed to match real groups, such as old villages and army units.
However, in 2021 a team at Stockholm University recalculated the number with newer data and methods. Their estimates ranged from just a few people to more than 500, so they concluded that the number 150 cannot be clearly supported. Dunbar and his colleagues disagree with this criticism.
123 words ・ CEFR B1
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ダンバー数とは、人が安定した関係を保てるのは約150人までだ、というものです。1992年、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは多くの種類の霊長類を比べ、脳の外側の部分である新皮質が大きい種ほど、大きな群れで暮らす傾向があることを発見しました。このパターンを人間に当てはめると、群れの大きさは約150人と予測されました。この考えは、昔の村や軍隊の部隊のような現実の集団に合っているように見えたため人気になりました。
しかし2021年、ストックホルム大学のチームが、より新しいデータと手法でこの数を計算し直しました。彼らの推定値は数人から500人以上まで幅があったため、150という数字ははっきりとは支持できないと結論づけました。ダンバーらはこの批判に反対しています。
4択リーディングクイズ
Q1. How did Dunbar predict the number 150?
霊長類で見つけた新皮質と群れの大きさの関係を When he applied this pattern to humans とあるので B。
Q2. What did the Stockholm team find?
Their estimates ranged from just a few people to more than 500 とあるので C。
Q3. Which statement best describes the current situation?
再計算で150は支持できないとする一方、Dunbar and his colleagues disagree とあり、議論が続いていると読み取れるので A。
Dunbar's number, the idea that humans can maintain only about 150 stable relationships, originated in a 1992 study by British anthropologist Robin Dunbar. Comparing primate species, he observed that those with a larger neocortex relative to the rest of the brain tended to live in larger groups.
Extrapolating this relationship to humans yielded a predicted group size of roughly 150, and Dunbar later proposed that human networks are organized in layers of about 5, 15, 50 and 150 people. The figure gained wide appeal because it appeared to match hunter-gatherer bands, traditional villages and military units. In 2021, however, Lindenfors and colleagues at Stockholm University reanalyzed the question using updated data and methods.
Depending on the method, their average estimates ranged from the teens to about 100, and the confidence intervals stretched from a few individuals to more than 500. They concluded that no specific number can be reliably derived from primate data. Critics also note that humans do not process relationships with the neocortex alone and can store social information in tools such as writing and phones. Dunbar's team points to evidence such as Christmas card networks averaging around 150, so the debate continues.
195 words ・ CEFR B2
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ダンバー数、つまり人間が安定した関係を保てるのは約150人までだという考えは、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーによる1992年の研究に由来します。霊長類の種を比較し、彼は脳のほかの部分に対して新皮質が大きい種ほど大きな群れで暮らす傾向があることに気づきました。
この関係を人間に当てはめると、群れの大きさは約150人と予測され、ダンバーは後に、人間のネットワークは約5人、15人、50人、150人の層で構成されていると提案しました。この数字は、狩猟採集民の集団や伝統的な村、軍隊の部隊に一致するように見えたため、広く支持を集めました。しかし2021年、ストックホルム大学のリンデンフォースらは、更新されたデータと手法を用いてこの問題を再分析しました。
手法によって平均推定値は十数人から約100人までばらつき、信頼区間は数人から500人以上にまで広がりました。彼らは、霊長類のデータから特定の数字を確実に導くことはできないと結論づけました。批判者たちはまた、人間は新皮質だけで人間関係を処理しているわけではなく、文字や電話といった道具に社会的な情報を保存できると指摘しています。ダンバーのチームは、クリスマスカードを送る相手が平均約150人になるといった証拠を根拠に挙げており、論争は続いています。
4択リーディングクイズ
Q1. Why did Dunbar's number become so popular?
gained wide appeal because it appeared to match hunter-gatherer bands, traditional villages and military units とあるので D。
Q2. What does the wide confidence interval in the 2021 study suggest?
信頼区間が数人から500人以上と広い=推定の不確かさが大きい、ということで、no specific number can be reliably derived と結論している。A が正解。
Q3. Which point is used to question applying primate data to humans?
Critics also note that humans ... can store social information in tools such as writing and phones とあるので B。D はダンバー側が挙げる根拠。
重要単語
- neocortexC1名詞大脳新皮質The neocortex is linked to complex thinking.
neo-(新しい)+cortex(皮質)。neo- は neon, neolithic(新石器時代の)などにも。 - primateC1名詞霊長類Monkeys and apes are primates.
prime(第一の)と同語源で「動物の中の第一位」。prime minister の prime と同じ。 - estimateB1名詞推定値The estimates ranged from 16 to 109.
名詞は /ˈestɪmət/、動詞は /ˈestɪmeɪt/。range from A to B「AからBに及ぶ」とセットで。 - confidence intervalC1名詞(句)信頼区間A wide confidence interval means great uncertainty.
interval は「間隔」。幅が広いほど推定があいまい、と覚える。統計系長文で登場。 - acquaintanceB2名詞知り合いAn acquaintance is not quite a friend.
動詞 acquaint(知らせる)。be acquainted with ~「~と知り合いだ・~に精通している」。 - anthropologistC1名詞人類学者The anthropologist studied village life.
anthropo-(人間)+-logy(学問)+-ist(人)。philanthropy「博愛」も anthropo- を含む。 - extrapolateC1動詞(既知のデータから)推定・当てはめるHe extrapolated from primates to humans.
extra-(外へ)+polate。データの範囲外に延長して推測すること。interpolate(内挿)と対。
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「人が安定した関係を保てるのは約150人」という有名なダンバー数。ところが2021年、新しい霊長類データと手法で計算し直したら、推定値の幅が数人から500人超までブレブレになったらしい。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Dunbar (1992) Neocortex size as a constraint on group size in primates, Journal of Human Evolutiondoi.org
- Dunbar (1993) Coevolution of neocortical size, group size and language in humans, Behavioral and Brain Sciencesdoi.org
- Lindenfors, Wartel & Lind (2021) 'Dunbar's number' deconstructed, Biology Lettersdoi.org
- Hill & Dunbar (2003) Social network size in humans, Human Naturedoi.org
- Zhou, Sornette, Hill & Dunbar (2005) Discrete hierarchical organization of social group sizes, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












