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シャドーイング、効くのは"話す力"より"聞く耳"だった? 研究で見えた実力と限界

シャドーイング、効くのは"話す力"より"聞く耳"だった? 研究で見えた実力と限界

読む前に予想してみよう!

シャドーイングは、英語の上級者ほど大きな効果が出る

研究カード(どんな研究?)
対象
日本の大学生(英語を外国語として学ぶ)
規模
43人
研究の種類
授業内の介入研究(事前・事後テスト)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

シャドーイングは「音の聞き取り」を鍛える効果が報告されている。ただし研究は小規模・短期間が多く、上級者や会話力への効果はまだはっきりしない。

ひとことで言うとまねして言う練習は、まず「耳」をきたえるのにきくみたい!

もくじ
  1. 日本の大学生で確かめたら…伸びたのは「耳」
  2. なぜ「耳」に効くのか
  3. 「話す力」への効果は、まだ発展途上
  4. まとめ

「英語はシャドーイングで一気に伸びる!」。英語学習の本やSNSで、何度も見かける言葉です。

聞こえた英語を、影(shadow)のように少し遅れて追いかけて口に出す。もともとは同時通訳の訓練法として知られ、日本の英語教育に取り入れられてから広まりました。

では、研究で確かめると本当に「最強」なのか。答えは「効く場面はある。でも、効く力と効く人が限られている」でした。

01日本の大学生で確かめたら…伸びたのは「耳」

つまりシャドーイングは、「英語の音を一つひとつ拾う力」を鍛えるのが得意。いわば耳の筋トレです。

逆に言えば、すでに音はある程度聞き取れていて、「単語や文法がわからないから内容がつかめない」という段階の人には、シャドーイングだけでは効果が出にくい可能性があります。自分のつまずきがどこにあるかで、向き不向きが分かれるのです。

一方で、話の内容をつかむ力まで伸びるかどうかは、学習者のレベルしだいでした。

02なぜ「耳」に効くのか

英語のリスニングでつまずく原因の一つは、音がつながって変化することです。「What do you」が「ワダユ」に聞こえる、あれです。

シャドーイングでは、音声に遅れずについていくため、聞き流しができません。一音一音に注意を向けざるをえない。これが、音から単語を切り出す「ボトムアップ処理」を鍛えると考えられています。

英語の聞き取りでも、こうした「音の解読」を鍛える訓練(書き取りや発音指導など)は、まとめて分析すると中程度の効果があると報告されています。シャドーイングも、音の処理を鍛えるという点でこの考え方に近い練習です。

音声の「影」になって、ぴったり後ろをついていく
音声の「影」になって、ぴったり後ろをついていく

03「話す力」への効果は、まだ発展途上

「シャドーイングで発音も会話も上達する」とよく言われますが、話す力への効果を調べた研究は、聞く力に比べて少なめです。

携帯プレーヤー(iPod)で8週間シャドーイングを続けてもらい、発音や話しぶりの変化を調べた研究などはあるものの、結果は指標によってまちまち。少なくとも「やれば誰でもペラペラ」と言えるほどの証拠はありません。

また、研究の多くは日本やアジアの大学生を対象に、数週間〜数か月、数十人規模で行われたものです。比べる対照グループがない研究も少なくありません。

04まとめ

シャドーイングは「魔法の勉強法」ではありません。でも、英語の音が聞き取れずに困っている人の「耳」を鍛える道具としては、研究の裏づけがあります。

自分のつまずきが「音が拾えない」なのか「単語や文法がわからない」なのか。そこを見極めて使えば、シャドーイングはしっかり働いてくれるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerShadowing, repeating what you hear a moment after the speaker, began as a training method for simultaneous… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Shadowing, repeating what you hear a moment after the speaker, began as a training method for simultaneous interpreters and became very popular in Japan. But what does research show? In a study published in 2016, Hamada taught shadowing to 43 Japanese university students over nine lessons.

Before and after the course, the students took a test of catching individual words and a high-school-level listening test. Both lower- and intermediate-level groups improved at catching sounds, but only the lower-level group improved on the listening test. Shadowing seems to train bottom-up processing, the skill of picking out words from connected speech. Evidence that it improves speaking is more limited, and many studies are small, short and have no comparison group. Learners who already hear sounds well may need other practice.

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

話し手の少し後に聞いたことをくり返すシャドーイングは、同時通訳者の訓練方法として始まり、日本で大人気になりました。しかし、研究は何を示しているのでしょうか。2016年に発表された研究で、濱田は日本の大学生43人に9回の授業でシャドーイングを指導しました。

授業の前後で、学生たちは個々の単語を聞き取るテストと高校レベルのリスニングテストを受けました。下位と中位の両グループが音を聞き取る力を伸ばしましたが、リスニングテストで伸びたのは下位のグループだけでした。シャドーイングは、つながった話し言葉から単語を拾い出す力であるボトムアップ処理を鍛えるようです。話す力が伸びるという証拠はより限られており、多くの研究は小規模・短期間で、比較群がありません。すでに音がよく聞き取れる学習者には、別の練習が必要かもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. Where did shadowing begin?

Q2. What is "bottom-up processing" in this passage?

Q3. What can we infer about intermediate-level learners?

重要単語

  • shadowingC1
    名詞シャドーイング(音声を影のように追いかけて言う練習)Shadowing forces you to listen to every sound. shadow「影のようについていく」。overlapping(スクリプトを見ながら同時に読む)から始めると取り組みやすい。
  • phoneme perceptionC1
    名詞(句)音素知覚(意味を区別する最小単位の音を聞き分ける力)Good phoneme perception helps you catch fast speech. phoneme「音素」。リスニングの土台となるボトムアップの力。
  • bottom-up processingC1
    名詞(句)ボトムアップ処理(音→単語→文と小さい単位から積み上げる処理)Dictation and shadowing train bottom-up processing. top-down processing(背景知識から予測する処理)と対。シャドーイングはボトムアップ向きの練習。
  • proficiencyC1
    名詞習熟度・語学力のレベルThe effect depended on the learners' proficiency. SLA研究では効果が「習熟度しだい」で変わることが多い。自分のレベルに合った練習選びが大切。
  • connected speechC1
    名詞(句)連続した話し言葉(単語がつながって音が変化する話し方)In connected speech, "want to" often sounds like "wanna." linking(連結)・reduction(弱化)・elision(脱落)など。知っている単語が聞き取れない最大の原因。
  • interventionC1
    名詞介入(効果を調べるための指導や訓練)The intervention lasted only nine lessons. intervene「介入する」の名詞形。教育・医療研究で「試した指導・治療」を指す定番語。
  • simultaneousC1
    形容詞同時のSimultaneous interpreters translate while the speaker is talking. simultaneous interpretation「同時通訳」。副詞 simultaneously「同時に」は入試頻出。

動画でもっと知る

英語学習の定番「シャドーイング」。日本の大学生の実験では、音を聞き分ける力は伸びたのに、内容理解が伸びたのは初級グループだけだったらしい。万能薬ではなく“耳の筋トレ”として使うのが正解かも。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Hamada (2016) Shadowing: Who benefits and how? Uncovering a booming EFL teaching technique for listening comprehension, Language Teaching Researchdoi.org
  2. Hamada (2018) Shadowing: What is it? How to use it. Where will it go?, RELC Journaldoi.org
  3. Jia & Hew (2021) Toward a set of design principles for decoding training: A systematic review of studies of English as a foreign/second language listening education, Educational Research Reviewdoi.org
  4. Foote & McDonough (2017) Using shadowing with mobile technology to improve L2 pronunciation, Journal of Second Language Pronunciationdoi.org