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「ゲームで英語が伸びた」は本当? 各国の調査で見えた、伸びる遊び方・伸びない遊び方

「ゲームで英語が伸びた」は本当? 各国の調査で見えた、伸びる遊び方・伸びない遊び方

読む前に予想してみよう!

英語でゲームをする時間が長いほど、学校の英語の成績も必ず上がる

研究カード(どんな研究?)
対象
外国語・英語の学習者(各国の調査は10〜16歳前後が中心)
規模
47研究・約2万2千人(デジタル学習全般のメタ分析。ゲームのみではない)+各国の調査
研究の種類
メタ分析・大規模調査・縦断研究(いずれも観察)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ゲームに限らない「授業外のデジタル学習」と外国語の力には、47研究・約2万2千人のメタ分析で中くらいの関連。ゲーム単独では、遊び方やジャンルで結果が分かれた。

ひとことで言うと英語でゲームする子は単語をよく知っている傾向。でも、ただ遊ぶだけだと伸びにくいかも!

もくじ
  1. 2万2千人のメタ分析は「中くらいの関連あり」(ただしゲーム限定ではない)
  2. ところがスペインでは「ゲームは成績と無関係」
  3. 伸びる遊び方は「推測して、調べて、メモする」
  4. どんでん返し:英語ができるからゲームを英語でする?
  5. まとめ

「英語はオンラインゲームで覚えた」。そんな話を聞いたことはありませんか?

授業の外で英語にふれることを、研究者はエクストラミューラル・イングリッシュ(extramural English=学校の外の英語)と呼びます。動画、音楽、SNS、そしてゲーム。最新のメタ分析では、デジタル機器を使った授業外の外国語学習と外国語の力のあいだに、中くらいのプラスの関連が確認されました。ただしこれは、ゲームだけを調べた結果ではありません。

ただし、話はそれほど単純ではありません。ゲームが英語の成績と結びつかなかった大規模調査もあるのです。分かれ道はどこにあるのでしょうか。

012万2千人のメタ分析は「中くらいの関連あり」(ただしゲーム限定ではない)

2026年に学術誌 System に載ったメタ分析では、デジタル機器を使った授業外の外国語学習(informal digital language learning)と、外国語の力の関係を調べた47研究・22,242人分のデータがまとめられました。対象は英語に限らず、使う道具もゲームに限りません。「ゲームの効果」を2万人で確かめた研究ではない点に注意してください。

結果は、中くらいの強さのプラスの関連。しかも、学習の種類、使う道具、学ぶ言語、学習者の背景、レベル、学習環境、測り方で分けても、関連の強さに統計的な差は出ませんでした(著者は「どこでも同じ」と言い切るのは慎重に、とも書いています)。「授業外にデジタルで外国語にふれる人ほど外国語ができる」傾向は、かなり広く見られるようです。ただし、これは関連であって、原因と結果まではわかりません。

02ところがスペインでは「ゲームは成績と無関係」

一方、スペインの12〜16歳の中高生2,015人を調べた2024年の研究では、結果がちがいました。英語の成績と結びついていたのはSNSでのやりとりや、読む・書く活動。人気のある音楽やゲームは成績と関係がないか、むしろマイナスの相関さえありました。

注意したいのは、測っているものの違いです。ベルギーの研究は単語・リスニングなどのテスト、スペインの研究は学校の英語の成績。年齢も国も調べ方も違うため、この差の理由までは、これらの研究だけではわかりません。

03伸びる遊び方は「推測して、調べて、メモする」

ノルウェーの中等学校の生徒116人を調べた2024年の研究は、ゲーム中に何をしているかに注目しました。

  • 知らない単語の意味を場面から推測する
  • 辞書などで調べる
  • メモを取る

こうした工夫をしている生徒ほど、自分で使える単語(書ける・言える単語)が多い傾向がありました(意味がわかる単語と結びついていたのは「推測」だけ)。逆に、レースゲームをよく遊ぶ生徒ほど、意味がわかる単語が少ないという関連も見つかっています。会話やストーリーの少ないゲームでは、英語にふれる量そのものが少ないのかもしれません。

単語を多く知っていたのは「遊びながら推測し、調べ、メモする」タイプのプレイヤーだった
単語を多く知っていたのは「遊びながら推測し、調べ、メモする」タイプのプレイヤーだった

04どんでん返し:英語ができるからゲームを英語でする?

ここまでの研究は、ほとんどが観察研究です。「ゲームをするから英語ができる」のか、「英語ができるから英語のゲームを楽しめる」のか、データだけでは区別できません。

この点を追ったのが、同じ生徒を4回くり返し調べたベルギーの縦断研究(2025年)。ゲーム・SNS・読書は単語力の伸びを予測していましたが、同時に英語力が英語にふれる活動に影響するという逆向きの関係もあり、双方向の関係が示されました。つまり、両方がぐるぐる影響し合っているのです。ちなみにこの研究では、母語字幕つきでテレビを見ることは単語の伸びにマイナスでした。

05まとめ

授業の外で英語にふれる人ほど英語ができる、という関連は多くの国の研究で見られます。ゲームもその入口になりえます。

ただ、効いていそうなのは「長く遊ぶこと」より、英語のセリフに注意を向け、推測し、調べ、使ってみること。今夜ゲームを始める前に、まず設定画面で言語を「English」に変えてみませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerResearchers call the English that young people meet outside school "extramural English." It includes… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Researchers call the English that young people meet outside school "extramural English." It includes videos, music, social media and games. A 2026 review of 47 studies with about 22,000 learners looked at informal digital learning in general, not only games, and found a medium-sized link with language skills.

Games looked useful in Belgium, where 780 children aged 10 to 12 were tested before they had any English lessons. Gaming, social media and speaking were the activities most closely tied to their English.

But a survey of 2,015 teenagers in Spain told a different story. Their gaming time was not related to their English grades, and sometimes the link was negative. A Norwegian study offers one clue. Students who guessed meanings, checked words and took notes while playing knew more words.

130 words ・ CEFR B1

和訳を見る

研究者は、若者が学校の外で出会う英語を「エクストラミューラル・イングリッシュ(学校外の英語)」と呼んでいます。動画、音楽、SNS、ゲームなどがそれに含まれます。約2万2千人の学習者を対象にした47の研究をまとめた2026年のレビューは、ゲームだけでなく、授業外のデジタルでの学習全般を調べ、言語の力との間に中くらいの関連を見つけました。

ベルギーでは、ゲームは役に立っているように見えました。そこでは10〜12歳の子ども780人が、英語の授業を受ける前にテストを受けました。彼らの英語力と最も強く結びついていたのは、ゲーム、SNS、そして英語で話すことでした。

しかし、スペインの10代2,015人の調査は違う結果を示しました。ゲームの時間は英語の成績と関係がなく、ときにはマイナスの関連さえありました。ノルウェーの研究が、ひとつの手がかりを与えてくれます。遊びながら意味を推測し、単語を調べ、メモを取った生徒ほど、多くの単語を知っていたのです。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the passage, what did the 2026 review find?

Q2. What was different about the Spanish survey?

Q3. What would the Norwegian study most likely recommend to a student who plays games in English?

重要単語

  • extramuralC1
    形容詞学校の外の、課外のExtramural English includes games, music, and videos. extra-(外の)+ mural(壁の)。「学校の壁の外」と覚える。intramural(学内の)と対になる。
  • exposureB2
    名詞(言語などに)ふれること、接触Daily exposure to English helps you learn new words. expose A to B(AをBにさらす)の名詞形。exposure to English の to を落とさないこと。入試の語法問題でも狙われる。
  • incidentalC1
    形容詞偶然の、付随的なMany gamers pick up words through incidental learning. incidental learning は「覚えようとせずに身につく学習」。incident(出来事)と同じ語源。
  • inferB2
    動詞推測するTry to infer the meaning of a word from the scene. infer A from B(BからAを推測する)。名詞は inference。読解問題の設問 What can be inferred ...? でおなじみ。
  • reciprocalC1
    形容詞相互の、お互いに影響し合うThe study found a reciprocal relationship between English input and vocabulary. 「一方通行ではなく両方向」のイメージ。mutual と言い換えられることが多い。
  • correlateC1
    動詞相関するNote-taking during games correlated with vocabulary scores. correlate with ~ で「~と相関する」。名詞 correlation。相関は因果ではない、という論点とセットで長文に出やすい。
  • associationB2
    名詞関連、結びつきThe review reported a moderate association between the two. 研究では「因果」ではなく「関連」を示すときの定番語。associate A with B(AをBと結びつける)。
英語を習う前の10〜12歳780人を調べたら、英語力と特に結びついていたのは「ゲーム」「SNS」「話すこと」だったらしい。一方スペインの2015人調査では、ゲームと英語の成績は無関係か逆相関。差を分けるのは遊び方かも。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Liu & Soyoof (2026) Does informal digital language learning really contribute to second language achievement? Evidence from a multilevel meta-analysis, Systemdoi.org
  2. De Wilde, Brysbaert & Eyckmans (2019) Learning English through out-of-school exposure. Which levels of language proficiency are attained and which types of input are important? Bilingualism: Language and Cognitiondoi.org
  3. Tran & Miralpeix (2024) Out-of-School Exposure to English in EFL Teenage Learners: Is It Related to Academic Performance? Education Sciencesdoi.org
  4. De Wilde (2025) Adolescent learners' L2 English vocabulary knowledge and contact with extramural English: Longitudinal development and relationships between L2 vocabulary and extramural English, Bilingualism: Language and Cognitiondoi.org
  5. Calafato & Clausen (2024) Vocabulary learning strategies in extramural English gaming and their relationship with vocabulary knowledge, Computer Assisted Language Learningdoi.org