語学・英語学習ホント

「strong rain」はなぜ不自然? 上級者も間違える"コロケーション"の科学

「strong rain」はなぜ不自然? 上級者も間違える"コロケーション"の科学

読む前に予想してみよう!

英語の上級者になれば、make a decision のような語の組み合わせの間違いはほぼなくなる

研究カード(どんな研究?)
対象
ドイツ語・ヘブライ語・中国語などを母語とする英語学習者
規模
学習者コーパス約30万語ほか
研究の種類
コーパス分析+実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

heavy rain のような「語の組み合わせ」は上級者でも誤りやすく、母語の影響が大きい。同じ組み合わせに15回ほど出会うと、読みながら聞くだけでも身につきやすい。

ひとことで言うと英語には「この言葉にはこの言葉」という相性がある。くり返し出会えば覚えられる!

もくじ
  1. 上級者の作文でも、コロケーションの誤りは残る
  2. 大人でも「一緒に出てくる語」は記憶できる
  3. まとめ

「今日は強い雨だね」を英語で言うと?

strong rain と言いたくなりますが、ネイティブが普通に使うのは heavy rain です。同じように、「決断する」は do a decision ではなく make a decision、「写真を撮る」は take a picture。

文法的に間違いではないのに、なぜか不自然。この「語と語の相性」をコロケーションと言います。実は、上級者になっても最後まで残る壁のひとつなのです。

01上級者の作文でも、コロケーションの誤りは残る

ヘブライ語を母語とする学習者の作文約30万語を分析した2011年の研究でも、

  • どのレベルの学習者も、ネイティブよりコロケーションの使用がずっと少なかった
  • 使用数が増えたのは上級になってから
  • 母語の影響による誤りは、上級になっても残り続けた

ことがわかりました。日本語話者が strong rain と言いたくなるのも、「強い雨」という日本語の組み合わせをそのまま英語に置き換えているからだと考えられます。

母語の組み合わせを、そのまま英語に運ぶとズレが起きる
母語の組み合わせを、そのまま英語に運ぶとズレが起きる

02大人でも「一緒に出てくる語」は記憶できる

「コロケーションは丸暗記するしかないの?」と思うかもしれません。

実は、大人の学習者でも、読んだり聞いたりした英語の中で「どの語がどの語と一緒に出てきたか」を記憶できることが実験で確かめられています。ネイティブとの差は、学び方の違いではなく、出会う量の少なさが原因ではないか——という見方です。

では、どのくらい出会えばいいのでしょう。

台湾の大学生を対象にした2013年の実験では、学習者向けの読み物を音声を聞きながら読むとき、18個の目標コロケーションに1回・5回・10回・15回出会う4つのバージョンを用意しました。

結果は、出会う回数が多いほどよく覚えていた。そして15回出会ったグループでは、かなり大きな学習効果が見られました。単語を覚えようと意識しなくても、です。

03まとめ

コロケーションは、上級者でも間違える「自然な英語」の最後の壁でした。でも、大人でも出会う回数を増やせば、ちゃんと身につきます。

単語を覚えるときは、その単語の「仲良し」もいっしょに。それだけで、あなたの英語は一気に自然に聞こえるようになります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do English speakers say 'heavy rain' and 'make a decision' instead of 'strong rain' and 'do a decision'? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why do English speakers say 'heavy rain' and 'make a decision' instead of 'strong rain' and 'do a decision'? Such natural word combinations are called collocations, and they remain difficult even for advanced learners. In 2003, Nesselhauf analyzed essays by advanced German-speaking learners of English and found that many errors came from their first language.

A 2011 study of about 300,000 words written by Hebrew-speaking learners also found that first-language errors continued even at advanced levels. However, learners can pick up collocations from input. In a 2013 study, Taiwanese university students who met target collocations 15 times while reading and listening learned them much better.

105 words ・ CEFR B1

和訳を見る

なぜ英語話者は「strong rain」や「do a decision」ではなく、「heavy rain」や「make a decision」と言うのでしょうか。こうした自然な語の組み合わせはコロケーションと呼ばれ、上級の学習者にとっても難しいままです。2003年、ネッセルハウフはドイツ語を母語とする上級の英語学習者の作文を分析し、多くの誤りが母語から来ていることを発見しました。

ヘブライ語を母語とする学習者が書いた約30万語を調べた2011年の研究でも、母語による誤りは上級レベルになっても続いていました。しかし、学習者はインプットからコロケーションを身につけることができます。2013年の研究では、読みながら聞く中で目標のコロケーションに15回出会った台湾の大学生は、それをずっとよく覚えました。

4択リーディングクイズ

Q1. According to Nesselhauf, where did many collocation errors come from?

Q2. How much writing was analyzed in the 2011 study?

Q3. What does the 2013 study suggest?

重要単語

  • collocationC1
    名詞語と語のよくある組み合わせ"Heavy rain" is a common collocation. co(共に)+locate(置く)。入試の語法問題(make / do / take の使い分けなど)の多くはコロケーションの知識を問うもの。
  • learner corpusC1
    名詞(句)学習者コーパス(学習者の作文や発話を集めたデータ)The learner corpus showed many collocation errors. corpus の複数形は corpora。言語研究で大量の実例データを指す。
  • interlingual errorC1
    名詞(句)母語の影響による誤りSaying "strong rain" may be an interlingual error. inter(間の)+lingual(言語の)。言語間で起こる誤り。intralingual error は英語内部のルールの混同による誤り。
  • encounterB2
    名詞・動詞出会い・遭遇/出会うAfter 15 encounters, the phrase felt natural. 動詞は他動詞で encounter a problem「問題に直面する」。meet with ~ と言い換えられる。
  • incidental learningC1
    名詞(句)偶発的学習(読んだり聞いたりする中で自然に覚えること)Incidental learning happens while reading for fun. incidental は「付随的な、偶然の」。intentional learning(意図的学習)との対比で使われる。
  • retainB2
    動詞保持する・覚えておくLearners can retain word combinations from input. 名詞 retention。re(後ろに)+tain(保つ)は contain, maintain と同じ仲間。
  • exposureB2
    名詞(言語などに)触れること、接触More exposure to English helps you learn collocations. 動詞 expose。exposure to ~「~に触れること、さらされること」は前置詞 to とセットで頻出。

動画でもっと知る

「強い雨」は strong rain でなく heavy rain。この“語の相性”をコロケーションという。上級者でも誤りが残り、多くは母語の直訳が原因。でも同じ組み合わせに15回出会うと、読みながら聞くだけでも身につきやすかった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Nesselhauf (2003) The Use of Collocations by Advanced Learners of English and Some Implications for Teaching, Applied Linguisticsdoi.org
  2. Laufer & Waldman (2011) Verb-Noun Collocations in Second Language Writing: A Corpus Analysis of Learners' English, Language Learningdoi.org
  3. Webb, Newton & Chang (2013) Incidental Learning of Collocation, Language Learningdoi.org
  4. Durrant & Schmitt (2010) Adult learners' retention of collocations from exposure, Second Language Researchdoi.org