語学・英語学習ホント

同じ話を「4分→3分→2分」で3回。言語学者ネーションの“4/3/2”で英語の流暢さが上がる理由

同じ話を「4分→3分→2分」で3回。言語学者ネーションの“4/3/2”で英語の流暢さが上がる理由

読む前に予想してみよう!

同じ内容を時間を縮めながら3回話す練習は、流暢さだけでなく文法の正確さも大きく伸ばす

研究カード(どんな研究?)
対象
英語学習者
規模
10〜24人の実験
研究の種類
実験研究(少人数)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

同じ内容を時間を縮めながら3回話す「4/3/2」は、話すスピードを上げ、言いよどみを減らす。ただし正確さや複雑さは伸びにくく、目的に合わせた使い分けがコツ。

ひとことで言うと同じ話を、だんだん短い時間で3回。それだけで英語がなめらかになる!

もくじ
  1. やり方:聞き手を替えて、同じ話を3回
  2. なぜ流暢になるのか
  3. 弱点:「正確さ」は伸びにくい
  4. まとめ

英語の文法も単語もそこそこ知っている。なのに、話そうとすると「えーと……」が止まらない。

そんな人にぴったりの練習法があります。ニュージーランドの言語学者ポール・ネーションが広めた「4/3/2(フォー・スリー・ツー)」です。

やり方は驚くほどシンプル。同じ話を、4分→3分→2分と時間を縮めながら3回話す。それだけです。

01やり方:聞き手を替えて、同じ話を3回

もともとは教室用の活動です。

  1. ペアになり、話し手が4分間、あるテーマについて話す
  2. 聞き手を替えて、同じ話を3分で
  3. もう一度聞き手を替えて、同じ話を2分で

聞き手が毎回替わるので、話し手は「同じ話をくり返す」ことに不自然さを感じません。そして時間が短くなるので、自然と速く、無駄なく話すようになります。

02なぜ流暢になるのか

ネーションは1989年の論文で、この活動を紹介し、くり返すうちに話す速度が上がり、言いよどみが減ると述べました。

ポイントは、内容を考える負担が回を追うごとに減ること。1回目は「何を話すか」「どう言うか」で頭がいっぱいでも、2回目、3回目は同じ言い方を使い回せるので、口を動かすことに集中できます。

つまり、くり返し使った言い回しが自動的に出てくる「手続き的な知識」に変わり、それが新しい話題でも役立ったと考えられています。

同じ道を何度も通ると、道がならされて速く歩ける。言葉の「通り道」も同じ
同じ道を何度も通ると、道がならされて速く歩ける。言葉の「通り道」も同じ

03弱点:「正確さ」は伸びにくい

ただし、万能ではありません。

ベルギー出身の研究者ボアーズは2014年、成人の英語学習者10人に、時間を縮める条件と縮めない条件で同じ話を3回してもらいました。流暢さはどちらの条件でも伸びましたが、時間を縮める条件では、正確さを伸ばす効果が弱まるようでした。

ベトナムの学習者20人を対象にした別の研究でも、時間を縮める条件で流暢さが最も伸びた一方、文の複雑さや正確さには目立った変化がなかったのです。逆に、時間を一定(3分・3分・3分など)にした条件では、流暢さの伸びは控えめでも、複雑さと正確さが少し向上していました。

どちらの研究でも、学習者は前回の言い方を一字一句そのまま繰り返す傾向が強く、それが流暢さは上がるけれど中身は変わらない理由だと考えられています。

04まとめ

「話すとき詰まる」の原因は、知識不足より知識を取り出すスピードであることが多いもの。4/3/2は、その取り出しを速くする筋トレです。

正確さも欲しいなら、合間にふり返りの時間を。タイマー1つで、今日から始められます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe 4/3/2 activity was made popular by the New Zealand linguist Paul Nation. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The 4/3/2 activity was made popular by the New Zealand linguist Paul Nation. A learner gives the same talk three times to three different listeners, first in four minutes, then in three, and finally in two. Because the content stays the same, the speaker can focus on speaking rather than planning.

In a 2011 study of 24 learners, both a group that repeated the same topic and a group that changed topics improved during practice. However, only the same-topic group kept its fluency on a later test. These learners had started to use the same linking phrases again and again, and these phrases seemed to become automatic.

107 words ・ CEFR B1

和訳を見る

4/3/2という活動は、ニュージーランドの言語学者ポール・ネーションによって広められました。学習者は同じ話を、3人の異なる聞き手に3回します。最初は4分、次に3分、最後に2分です。内容が同じままなので、話し手は何を話すか考えるより、話すことに集中できます。

24人の学習者を対象にした2011年の研究では、同じテーマをくり返したグループも、テーマを変えたグループも、練習中に上達しました。しかし、後のテストでも流暢さを保てたのは、同じテーマのグループだけでした。この学習者たちは同じつなぎの言い回しを何度も使うようになっており、その言い回しが自動的に出るようになったようです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why can the speaker focus on speaking in the later rounds?

Q2. Which group kept its fluency on a later test?

Q3. What can be inferred about the linking phrases?

重要単語

  • fluencyB2
    名詞流暢さFluency means speaking smoothly without long pauses. 形容詞 fluent。accuracy(正確さ)、complexity(複雑さ)と並べて話す力の3要素(CAF)と呼ばれる。
  • hesitationB2
    名詞ためらい・言いよどみHer hesitations decreased after practice. 動詞 hesitate。Don't hesitate to ask.「遠慮なく聞いてください」は定番表現。
  • repetitionB1
    名詞くり返しRepetition builds confidence. 動詞 repeat の名詞形だが綴りは repet- になる点に注意。
  • time pressureB2
    名詞(句)時間的なプレッシャーTime pressure made me speak faster. under time pressure「時間に追われて」。試験の長文読解そのものにも当てはまる語。
  • proceduralizationC1
    名詞手続き化(知識が自動的に使える技能になること)Practice leads to proceduralization of grammar. procedure(手順)から。declarative knowledge(宣言的知識)→ procedural knowledge(手続き的知識)の流れで使われる。
  • verbatimC1
    副詞・形容詞一字一句そのまま(の)He repeated the sentence verbatim. ラテン語の verbum(言葉)から。word for word と同義。
  • deliverB2
    動詞(話・演説を)する、届けるShe delivered a speech in English. deliver a speech / a lecture「スピーチ・講義をする」は頻出コロケーション。「配達する」だけではない。

動画でもっと知る

英語の“話す速さ”を上げたいなら、同じ話を4分→3分→2分で3回くり返す「4/3/2」がいいらしい。言語学者ネーションが広めた方法で、実験でも流暢さが伸びた。ただし「正確さ」は伸びにくいという弱点も分かってきた。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Nation (1989) Improving speaking fluency, Systemdoi.org
  2. de Jong & Perfetti (2011) Fluency Training in the ESL Classroom: An Experimental Study of Fluency Development and Proceduralization, Language Learningdoi.org
  3. Boers (2014) A Reappraisal of the 4/3/2 Activity, RELC Journaldoi.org
  4. Thai & Boers (2015) Repeating a Monologue Under Increasing Time Pressure: Effects on Fluency, Complexity, and Accuracy, TESOL Quarterlydoi.org