地球・歴史・物理ホント

地球の中心は約6000℃。足もとの真下に「太陽の表面」並みの熱があった

地球の中心は約6000℃。足もとの真下に「太陽の表面」並みの熱があった

読む前に予想してみよう!

地球の中心にある内核は、ドロドロに溶けた液体である

研究カード(どんな研究?)
対象
超高圧下の鉄の融解実験
規模
ダイヤモンドアンビルセル+放射光X線
研究の種類
室内実験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

地球の内核の境目は約6000℃と推定され、太陽表面(約5500℃)と同じくらい。超高圧のせいで鉄は溶けずに固体のまま。

ひとことで言うと地球のまん中は、太陽の表面と同じくらいアツアツ!

もくじ
  1. 人類が掘れたのは、たった12kmだけ
  2. 内核を見つけたのは、1人の女性地震学者
  3. 6000℃なのに溶けないのはなぜ?
  4. その熱は、どこから来ているの?
  5. 熱い中心が、私たちを守っている
  6. まとめ

いま立っている地面の、ずーっと真下。約6400km先にある地球の中心は、約6000℃もあると考えられています(正確には、実験で見積もられたのは内核の「境目」の温度で、中心はそれよりやや高いとみられます)。

太陽の表面温度はおよそ5500℃。つまり、私たちの足もとの奥深くには、太陽の表面とほぼ同じくらいの熱が眠っているのです。

でも、誰も行ったことがないのに、なぜそんなことがわかるのでしょう? しかも、そんなに熱いのに中心の鉄は「固体」だというのです。順番に見ていきましょう。

01人類が掘れたのは、たった12kmだけ

地球の半径は約6371km。これに対して、人類がこれまでに掘った最も深い穴は、ロシアの「コラ半島超深度掘削坑」で約12.3kmです。

地球の半径の約500分の1。地球をリンゴにたとえると、皮にすら届いていないくらいの深さ。中心に温度計を差し込むなんて、とても無理です。

そこで科学者は、2つの「間接的な方法」で中心をのぞいています。

  • 地震の波を使う:地震の揺れは地球の内部を通り抜けてきます。波の速さや曲がり方から、中がどんな物質でできているかを推理できます(病院のエコー検査に似ています)
  • 実験室で地球の中心を再現する:ダイヤモンドで物質をはさみ、とてつもない圧力をかけてレーザーで熱する実験です

02内核を見つけたのは、1人の女性地震学者

地球の中心に「固い芯」があると最初に見抜いたのは、デンマークの地震学者インゲ・レーマンです。1936年、地震波の届き方のわずかなズレから、液体の外核の内側にもう1つ別の層(内核)があると提案しました。

現在わかっている地球の中身は、ざっくりこんな構造です。

  • 地殻:私たちが住む薄い皮
  • マントル:深さ約2900kmまで続く、ゆっくり動く岩石の層
  • 外核:ドロドロに溶けた鉄とニッケルの層
  • 内核:半径約1220kmの、固体の鉄(とニッケル、少量の軽い元素)のボール

036000℃なのに溶けないのはなぜ?

ここが一番のふしぎポイントです。鉄は地上なら約1500℃で溶けます。なのに、6000℃の内核は固体のまま。

カギは圧力です。地球の中心には、上に乗っている岩や金属の重さがすべてのしかかっていて、その圧力は地上の300万倍以上。

ぎゅうぎゅうに押しつぶされた鉄の原子は、自由に動き回る(=液体になる)すき間がありません。満員電車で身動きがとれない状態をイメージするとわかりやすいでしょう。圧力が高いほど、物は溶けにくくなるのです。

超高圧で原子がぎゅうぎゅうに。だから6000℃でも鉄は固体のまま
超高圧で原子がぎゅうぎゅうに。だから6000℃でも鉄は固体のまま

04その熱は、どこから来ているの?

地球はとても大きいので、表面から熱が逃げるのにとてつもなく時間がかかります。そして、46億年たっても冷めきらない熱の出どころは、大きく分けて2つあります。

1つは、地球が生まれたときの「残り熱」。小さな天体がぶつかり合って地球ができたとき、ものすごい熱が生まれ、それがまだ残っています。

もう1つは、岩石に含まれるウランやトリウム、カリウムなどの放射性物質がゆっくり壊れるときに出す熱です。岐阜県・神岡の地下にあるKamLAND(カムランド)という実験装置が、地球内部から飛んでくる「地球ニュートリノ」という小さな粒をとらえ、地球から出ていく熱(約44兆ワット)のおよそ半分がこの放射性物質由来だと示しました(2011年)。

05熱い中心が、私たちを守っている

実はこの熱、私たちの暮らしにも関係しています。外核の溶けた鉄は、熱が逃げていくことと、内核が少しずつ固まって育つときに軽い成分がしみ出すことで、ゆっくりかき回されています。電気を通す金属が動くと電流が生まれ、それが地球全体を包む磁場(地磁気)を作ります。これを「ダイナモ作用」と呼びます。発電機と同じしくみです。

この磁場は、太陽から吹きつける有害な粒子の流れ(太陽風)をそらすバリアの役目をしています。方位磁針が北を指すのも、オーロラが極地方に出るのも、この磁場のおかげです。

06まとめ

  • 地球の中心(内核の境目)は約6000℃。太陽の表面と同じくらい
  • それでも超高圧で、内核の鉄は固体のまま
  • 熱の正体は「生まれたときの残り熱」と「放射性物質の熱」
  • 外核の動きが地磁気を生み、地球をバリアで守っている

方位磁針がくるっと北を向くたびに、数千km下で燃えるように熱い液体の鉄が動いている。そう思うと、ちょっとワクワクしてきませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEarth's center is about 6,400 kilometers below us, but the deepest hole humans have ever dug is only about… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Earth's center is about 6,400 kilometers below us, but the deepest hole humans have ever dug is only about 12 kilometers deep. So how do scientists know what is down there? They study how earthquake waves travel through the planet, and they recreate the conditions of the core in the lab.

In 2013, a French team squeezed iron between diamonds, heated it with lasers, and used X-rays to see when it melted. They estimated that the boundary of the inner core is about 6,000°C, close to the temperature of the Sun's surface. Amazingly, the inner core stays solid because the enormous pressure prevents the iron atoms from moving freely.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

地球の中心は私たちの約6400km下にありますが、人類がこれまでに掘った最も深い穴は約12kmしかありません。では、科学者たちはどうやってそこに何があるのかを知るのでしょうか。彼らは地震の波が地球の中をどう伝わるかを調べたり、実験室で核の条件を再現したりしています。

2013年、フランスのチームは鉄をダイヤモンドではさんで押しつぶし、レーザーで熱し、X線を使っていつ溶けるかを観察しました。彼らは、内核の境目が約6000℃で、太陽の表面温度に近いと見積もりました。驚くべきことに、内核が固体のままなのは、巨大な圧力が鉄の原子の自由な動きを妨げているからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the French team do in 2013?

Q3. What would probably happen to the inner core's iron if the pressure were much lower?

重要単語

  • inner coreB2
    名詞(句)内核The inner core is a solid ball of iron. core は「芯・中心」。the core of the problem「問題の核心」の比喩でもよく使う。outer core は外核。
  • pressureB1
    名詞圧力High pressure keeps the iron from melting. press(押す)の名詞形。peer pressure「仲間からの圧力」、under pressure「重圧を受けて」も頻出。
  • melting pointB2
    名詞(句)融点Pressure raises the melting point of iron. boiling point(沸点)、freezing point(凝固点)とセットで覚える。
  • seismic waveC1
    名詞(句)地震波Seismic waves reveal the structure inside Earth. seismic は「地震の」。seismologist(地震学者)。発音は /ˈsaɪzmɪk/(サイズミック)。
  • magnetic fieldB2
    名詞(句)磁場Earth's magnetic field shields us from the solar wind. shield ~ from ...「~を…から守る」とあわせて覚える。
  • extrapolateC1
    動詞外挿する(既知のデータから範囲外を推定する)They extrapolated the results to higher pressures. extra-(外へ)+polate。範囲内を推定する interpolate(内挿する)と対。

動画でもっと知る

4コマでわかる

地球の中心は約6000℃。足もとの真下に「太陽の表面」並みの熱があったの4コマ漫画
地球の中心は約6000℃で、太陽の表面とほぼ同じ温度らしい。しかもそれだけ熱いのに、鉄が「固体」のままってどういうこと…?

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Anzellini et al. (2013) Melting of Iron at Earth's Inner Core Boundary Based on Fast X-ray Diffraction, Sciencedoi.org
  2. The KamLAND Collaboration (2011) Partial radiogenic heat model for Earth revealed by geoneutrino measurements, Nature Geosciencedoi.org
  3. Hirose, Labrosse & Hernlund (2013) Composition and State of the Core, Annual Review of Earth and Planetary Sciencesdoi.org
  4. Buffett (2000) Earth's Core and the Geodynamo, Sciencedoi.org