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勉強のやる気が出ないときの科学的な対処法。「サボった自分を許した学生」ほど次は先延ばしが少なかった

勉強のやる気が出ないときの科学的な対処法。「サボった自分を許した学生」ほど次は先延ばしが少なかった

読む前に予想してみよう!

先延ばしをした自分を厳しく責めるほど、次はちゃんと勉強するようになる

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・成人
規模
約120人の追跡研究、691の相関のメタ分析など
研究の種類
縦断研究・フィールド実験・メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

やる気が出ないときは、課題を小さく分け、好きなことと組み合わせ、区切りの日を使うのが役立ちそう。前回サボった自分を責めずに許した学生は、次のテストで先延ばしが減った。

ひとことで言うとやる気が出ない自分を責めない。小さく始めればOK!

もくじ
  1. 先延ばしの正体は「イヤな気分からの逃げ」
  2. 自分を許した学生は、次は先延ばしが少なかった
  3. 「好きなこと」と抱き合わせにする
  4. 「区切りの日」はやる気のチャンス
  5. まとめ

勉強のやる気が出ないときは、「やる気が出るのを待つ」のをやめて、「5分だけ」「1問だけ」と小さく始めるのがひとつの手です。そして意外と大事なのが、サボってしまった自分を責めすぎないこと。研究では、自分を許せた学生ほど、次はちゃんと勉強に向かえていました。

「やる気は、行動したあとについてくる」とよく言われます。この言葉そのものはまだ研究で決着していませんが、先延ばしの研究からわかる使えるコツはたくさんあります。

01先延ばしの正体は「イヤな気分からの逃げ」

カナダ・カルガリー大学のスティールさんは、2007年、先延ばしに関する691の相関データをまとめたメタ分析を発表しました。先延ばしを強く予測したのは、

  • 課題がイヤだと感じること(つまらない・むずかしそう)
  • しめ切りまでの時間が遠いこと
  • 「自分にはできない」という気持ち
  • 衝動的に目の前の楽しいことを選びやすいこと

でした。つまり先延ばしは、なまけ心というより、「イヤな気分から一時的に逃げる」ための行動という面が大きいのです。

02自分を許した学生は、次は先延ばしが少なかった

「自分に厳しくしないとダメになる」と思いがちですが、自分を責めると勉強がますますイヤなものに結びつき、また逃げたくなる。この悪循環を断ち切るのが「許す」ことなのかもしれません。

サボった自分を責めるより、許して次へ
サボった自分を責めるより、許して次へ

ちなみに、自分を許すことは「サボってもいい」と開き直ることとはちがいます。「失敗したのは事実。でも、だからといって自分がダメな人間というわけではない。次はこうしよう」と、失敗と自分の価値を切り離すのがポイントです。

03「好きなこと」と抱き合わせにする

アメリカ・ペンシルベニア大学のミルクマンさんらは、続きが気になるオーディオブックを「ジムでだけ」聴けるようにする実験をしました。すると、最初のうちジムに通う回数が約5割も増えました(時間がたつと効果は弱まりましたが)。

これは「誘惑の抱き合わせ」と呼ばれる方法です。勉強なら、「好きな音楽はこの問題集を解くときだけ」「お気に入りのカフェでは英単語だけ」のように使えます。

04「区切りの日」はやる気のチャンス

ミルクマンさんが加わった別の研究(2014年)も、週のはじめ、月のはじめ、誕生日、新学期などの区切りのあとに、人が目標に向けて動き出しやすいことも示しました(フレッシュスタート効果)。区切りがあると、「前の失敗は前の期間のこと」と気持ちをリセットしやすいのです。

05まとめ

やる気が出ないのは、あなたがダメだからではなく、勉強が「イヤな気分」と結びついているからかもしれません。

小さく始める、好きなことと組み合わせる、区切りの日を使う、そしてサボった自分を許す。やる気は待つものではなく、しくみで呼びこむものです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen you have no motivation to study, waiting for it to appear rarely works. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

When you have no motivation to study, waiting for it to appear rarely works. A better idea is to start with a tiny step, such as solving one problem. Research also suggests that blaming yourself may make things worse.

In a 2010 study in Canada, about 120 first-year university students were followed across two exams. Students who forgave themselves for procrastinating before the first exam procrastinated less before the second. Forgiving themselves seemed to reduce their bad feelings about studying.

Other tricks can help, too. One is "temptation bundling," which means allowing yourself something you enjoy, like a favorite audiobook, only while doing a task. Another is to use fresh starts, such as a new week or a birthday, to begin again.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

勉強のやる気がないとき、やる気が出てくるのを待っていてもうまくいくことはめったにありません。それよりも、1問解くといったごく小さな一歩から始めるほうがよいでしょう。研究からは、自分を責めると状況が悪化する可能性がうかがえます。

カナダで行われた2010年の研究では、大学1年生約120人を2回の試験にわたって追跡しました。1回目の試験の前に先延ばしをした自分を許した学生は、2回目の前には先延ばしが少なくなりました。自分を許すことで、勉強に対するいやな気持ちが減ったようです。

ほかのコツも役立ちます。一つは「誘惑の抱き合わせ」で、好きなオーディオブックのように自分が楽しめるものを、ある作業をしている間だけ許すという方法です。もう一つは、新しい週や誕生日のような「新しいスタート」の時期を使って、もう一度始めることです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What is "temptation bundling"?

Q3. What can we infer about blaming yourself for procrastinating?

重要単語

  • procrastinateC1
    動詞先延ばしにするI always procrastinate before exams. pro-(前へ)+crastinus(明日の)=「明日へ回す」。名詞 procrastination。やさしく言うと put off。
  • motivationB1
    名詞やる気・動機づけMotivation often comes after you start. 動詞 motivate「やる気にさせる」。motive「動機」、move「動かす」と同語源。
  • self-forgivenessC1
    名詞自分を許すことSelf-forgiveness helped students move on. forgive A for B「AのBを許す」の語法に注意。self- をつけると「自分を~すること」:self-control, self-esteem。
  • temptationB2
    名詞誘惑Pair a temptation with a task you should do. 動詞 tempt「誘惑する」。resist (the) temptation「誘惑に抵抗する」がよく使われる組み合わせ。
  • milestoneC1
    名詞節目・区切りA new month is a good milestone for a fresh start. もとは道ばたの「里程標(マイル石)」。人生や計画の重要な節目の意味で使う。
  • blameB1
    動詞・名詞責める・非難Don't blame yourself for one bad day. blame A for B「BのことでAを責める」と blame B on A「BをAのせいにする」の2つの語法が頻出。
勉強のやる気が出ないとき、いちばんやってはいけないのは「サボった自分を責めまくる」ことかも。カナダの大学の研究では、前回の先延ばしを自分で許した学生ほど、次のテストでは先延ばしが減っていたらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Steel (2007) The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure, Psychological Bulletindoi.org
  2. Wohl, Pychyl & Bennett (2010) I forgive myself, now I can study: How self-forgiveness for procrastinating can reduce future procrastination, Personality and Individual Differencesdoi.org
  3. Milkman, Minson & Volpp (2014) Holding the Hunger Games Hostage at the Gym: An Evaluation of Temptation Bundling, Management Sciencedoi.org
  4. Dai, Milkman & Riis (2014) The Fresh Start Effect: Temporal Landmarks Motivate Aspirational Behavior, Management Sciencedoi.org