脳と心理ホント

「鳥頭」はほめ言葉だった? カラスやオウムの小さな脳には、サル並みの神経細胞が詰まっていた

「鳥頭」はほめ言葉だった? カラスやオウムの小さな脳には、サル並みの神経細胞が詰まっていた

読む前に予想してみよう!

カラスやオウムの前脳には、脳がずっと大きいサルと同じくらいの神経細胞がある

研究カード(どんな研究?)
対象
鳥28種
規模
各種数個体
研究の種類
脳細胞の計数研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

オウムや鳴き鳥の脳は小さいが、同じ重さの霊長類の脳の平均約2倍の神経細胞を詰め込んでいた。大型のオウムやカラスの前脳は、脳の大きなサルに匹敵する。

ひとことで言うと鳥の脳は小さいけど、中身はぎっしり。カラスはサル並みかも!

もくじ
  1. 鳥の脳を「数えて」みた
  2. 鳥の脳は「原始的」と思われていた
  3. カラスは「未来の計画」もできる?
  4. 小さくても高性能、には理由がある?
  5. まとめ

すぐに物事を忘れる人を「鳥頭」と言ったりします。でも、カラスが道具を作ったり、オウムが言葉の意味を理解したりする話を聞くと、「本当に鳥はおバカなの?」と思いませんか?

鳥の脳はとても小さい。カラスの脳は、クルミくらいの大きさしかありません。こんなに小さな脳で、なぜ賢いのか——長年の謎でした。

01鳥の脳を「数えて」みた

結果は驚くべきものでした。

  • オウムや鳴き鳥(カラスもこの仲間)の脳は、同じ重さの霊長類の脳の平均約2倍の神経細胞を持っていた
  • つまり、鳥の脳は神経細胞がぎっしり高密度に詰まっている
  • さらにカラスやオウムは、脳の神経細胞のうち、考えることに関わる前脳(終脳の外套)にいる割合が高い

その結果、大型のオウムやカラスの前脳の神経細胞の数は、脳がずっと大きいサルと同じか、それ以上になっていたのです。

鳥の脳は「小さな箱にぎっしり」タイプだった
鳥の脳は「小さな箱にぎっしり」タイプだった

02鳥の脳は「原始的」と思われていた

実は昔、鳥の脳は「本能で動く原始的な脳」と考えられていました。哺乳類のような層状の大脳皮質がないからです。

でも2005年、国際的な研究者グループが鳥の脳の名前のつけ方を見直し、鳥の前脳の多くは、哺乳類の大脳皮質と似た働きを持つ部分だと提案しました。見た目の構造は違っても、「考える場所」はちゃんとあったのです。

03カラスは「未来の計画」もできる?

神経細胞の多さを裏付けるように、カラス科の鳥の賢さを示す研究は次々に出ています。

  • ワタリガラスは、あとで使う道具や交換用の品を選んでとっておくことができた。研究者は、類人猿に匹敵する計画性だと報告しています(2017年)
  • ハシボソガラスに見えるか見えないかギリギリの光を見せる実験では、「見えた」と判断したかどうかに合わせて活動する神経細胞が見つかった。感覚の"意識"に関わる脳活動の手がかりかもしれない、とされています(2020年)

04小さくても高性能、には理由がある?

鳥は空を飛ぶため、体をできるだけ軽くしなければなりません。重い頭は飛ぶのに不利です。

そこで鳥は、脳を大きくする代わりに、小さな神経細胞を高い密度で詰め込むという方法をとったのかもしれません。神経細胞どうしの距離が短ければ、信号を伝える配線も短くてすみます。研究チームは、前脳に高密度で集まった神経細胞が、鳥の知能の神経的なしくみに大きく関わっている可能性を指摘しています。

05まとめ

鳥の脳は小さい。でも中身はぎっしり。カラスやオウムの前脳には、サル並みの神経細胞が詰まっていました。

次に公園でカラスと目が合ったら、「この鳥の頭の中には、サルに負けない数の神経細胞があるんだ」と思い出してみてください。ちょっと見る目が変わるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPeople sometimes call a forgetful person a "bird brain," but crows can make tools and parrots can… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

People sometimes call a forgetful person a "bird brain," but crows can make tools and parrots can understand the meaning of words. In 2016, an international team counted the neurons in the brains of 28 bird species. They found that the brains of parrots and songbirds, which include crows, held on average about twice as many neurons as primate brains of the same weight.

In addition, a large share of these neurons were in the forebrain, which is involved in thinking. As a result, large parrots and crows had as many forebrain neurons as monkeys with much larger brains, or even more. Scientists think birds may pack tiny neurons tightly because they need light bodies for flight.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

忘れっぽい人を「鳥頭」と呼ぶことがありますが、カラスは道具を作れますし、オウムは言葉の意味を理解できます。2016年、国際的なチームが28種の鳥の脳の神経細胞を数えました。その結果、オウムやカラスを含む鳴き鳥の脳は、同じ重さの霊長類の脳と比べて、平均で約2倍の神経細胞を持っていることがわかりました。

さらに、それらの神経細胞の多くは、考えることに関わる前脳にありました。その結果、大型のオウムやカラスは、ずっと大きな脳を持つサルと同じか、それ以上の数の神経細胞を前脳に持っていたのです。科学者たちは、鳥は飛ぶために体を軽くする必要があるので、小さな神経細胞をぎっしり詰め込んでいるのかもしれないと考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. Compared with primate brains of the same weight, how many neurons did parrot and songbird brains have?

Q2. Why is it important that many neurons were in the forebrain?

Q3. Why might birds have small, tightly packed neurons?

重要単語

  • densityB2
    名詞密度The neuron density in bird brains is very high. 形容詞 dense(密な)。population density「人口密度」は地理・社会の長文でも頻出。
  • forebrainC1
    名詞前脳The forebrain is important for complex behavior. fore-(前の)+brain。forehead(額)、forecast(予報)と同じ fore-。
  • corvidC1
    名詞カラス科の鳥Corvids are known for solving puzzles. カラス・ワタリガラス・カケスなどを含む。crow(カラス)、raven(ワタリガラス)も一緒に。
  • primateB2
    名詞霊長類Humans, apes and monkeys are primates. prime(第一の)と同語源。「動物の中で第一位」という発想の命名。
  • plan aheadB1
    熟語前もって計画するRavens seem to plan ahead for future tasks. ahead は「前もって」。think ahead、look ahead も同じ発想。
  • packB1
    動詞詰め込むBirds pack many neurons into a small brain. pack A into B「AをBに詰め込む」。densely packed「ぎっしり詰まった」は科学記事で頻出。

4コマでわかる

「鳥頭」はほめ言葉だった? カラスやオウムの小さな脳には、サル並みの神経細胞が詰まっていたの4コマ漫画
「鳥頭」ってバカにしてたけど、オウムや鳴き鳥の脳は、同じ重さのサルの脳の平均約2倍の神経細胞を詰め込んでいたらしい。大型のオウムやカラスの前脳は、脳がずっと大きいサルと同じかそれ以上。小さくても高性能だった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Olkowicz et al. (2016) Birds have primate-like numbers of neurons in the forebrain, PNASdoi.org
  2. Jarvis et al. (2005) Avian brains and a new understanding of vertebrate brain evolution, Nature Reviews Neurosciencedoi.org
  3. Kabadayi & Osvath (2017) Ravens parallel great apes in flexible planning for tool-use and bartering, Sciencedoi.org
  4. Nieder, Wagener & Rinnert (2020) A neural correlate of sensory consciousness in a corvid bird, Sciencedoi.org