ミスター原田の超絶英語コラム

カイロス(Kairos)の意味とは?「失敗は成功のもと」 ~カイロス2号機「駆動制御に異常」3分後に爆破~【ミスター原田の超絶英語コラム66】

 「失敗は成功のもと」 ~カイロス2号機「駆動制御に異常」3分後に爆破~

英語には「fail forward(フェイル・フォワード)」という示唆に富む表現がある。直訳すると「前に向かって失敗する」となるが、実際には「失敗から学び、次のステップに活かす」という意味だ▼12月18日、和歌山県串本町のスペースポート紀伊から打ち上げられた小型ロケット「カイロス2号機」は、打ち上げ約3分後に飛行中断を余儀なくされた。ロケット名の由来であるギリシャ神話の「時間の神」にちなんで、「時間を味方に市場を制する」という壮大な目標を掲げていたが、その夢は再び先送りとなった▼具体的には、リフトオフから80秒後にノズルの駆動制御に異常が発生。ロケットの姿勢が乱れ、想定していた南向きの経路から西側にずれていったという。搭載されていた5基の人工衛星の軌道投入は叶わず、3分7秒で飛行中断措置が取られた▼スペースワンの豊田正和社長は会見で「ミッションは最終段階まで達成できなかった」と述べ、衛星を託した顧客に謝罪。しかし同時に「前向きにとらえ、次の挑戦に望みたい」と決意も示した▼英語圏では、失敗を表現する際に「setback(セットバック)」という言葉もよく使う。「一時的な後退」を意味するこの言葉には、「必ずや再起する」という含意がある。今回の失敗を乗り越え、民間企業による宇宙開発の新たな一歩となることを期待したい。

【カイロスとは?】

カイロス(Kairos)は、ギリシャ語で「適切な瞬間」や「好機」を意味します。
ギリシャ神話では神格化された存在で、前髪が長く後頭部が禿げた美少年として描かれ、「チャンスは前からしか掴めない」という諺の元となりました。これは、良い機会は目の前に来たときにつかまないと、過ぎ去った後ではつかみにくいことを示しています。

ギリシャ語には時間を表す概念として「クロノス(連続的で客観的な時間)」と「カイロス(瞬間的で主観的な時間)」の2つがあり、カイロスは質的で内面的な「タイミングの良い一瞬」を象徴しています。古代ギリシャの彫刻家リュシッポスの作品にも、このカイロス像は前髪のみ長く、後ろは掴めない造形を通じて、好機が素早く通り過ぎる性質を示しました。

このようにカイロスは、古代から現代まで、タイミングの重要性や瞬間を逃さず捉えることの大切さを人々に示し続けています。

【英語訳】”Failure Breeds Success” – Kairos 2’s Drive Control Anomaly Leads to Self-Destruction After Three Minutes

In English, there’s a thought-provoking phrase: “fail forward.” While it literally means “to fail moving forward,” the real lesson behind it is to learn from mistakes and use that insight to inform your next step. On December 18, the small rocket “Kairos 2”—launched from Spaceport Kii in Kushimoto Town, Wakayama Prefecture—was forced to abort its flight about three minutes after liftoff. Named after the Greek god of opportunity and envisioned as a means to leverage time to dominate the market, that lofty ambition has once again been deferred.

Specifically, about 80 seconds after launch, a nozzle drive control anomaly occurred, causing the rocket to lose its intended orientation and veer westward instead of following its planned southward course. Unable to deploy its five onboard satellites into orbit, the mission was aborted at the three-minute-seven-second mark. At a press conference, Space One President Masakazu Toyoda stated, “We could not accomplish the final stage of the mission,” offering an apology to clients who had entrusted their satellites to the company. Yet he also expressed resolve, declaring his intention to view the setback positively and press on toward the next attempt.

In English-speaking regions, the term “setback” is frequently used to describe a failure. It implies not just a temporary retreat, but also the expectation of eventual recovery. One hopes that overcoming this setback will pave the way for a new chapter in private-sector space development.


【Mr.原田の英語コラム】このコーナーでは、高校英語教師の原田高志が大学受験英語や、英語学習に役立つ深堀りコラムを執筆&掲載していきます。英検1級や全国通訳案内士の資格に独学&一発合格したノウハウをふんだんに詰め込んで、皆さんに役立つ情報をご提供します。
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