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小学生の男の子が、「英語なんて大嫌い」と言い出しました。その理由は「声が小さいと怒られる」「隣の子と話させられる」「教室内を動き回らなきゃならない」など、どうも“英語そのもの”とは違う部分ばかり。実はこの子、以前は『英単語の語源図鑑』に夢中になっていたほど、英語への好奇心を持っていたそうです。
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この話から見えてくるのは、“英語が嫌い”というより「授業スタイルと合わない」だけの可能性。今の英語教育はコミュニケーション重視で、ペアワークやグループ活動を積極的に取り入れていますが、もともと人前で話すのが苦手な子にとっては苦痛な時間になりがちです。せっかく興味を持ち始めていた子どもも、「英語って無理矢理テンションを上げるもの」と思い込んで距離を置いてしまう――これは非常にもったいない状況だと感じます。
実際、声を張り上げずとも英語に触れる方法はたくさんあります。語源の面白さをじっくり探求したり、読書やゲーム感覚で語彙を増やしたり。英語の楽しみ方は千差万別ですから、大声での会話練習にこだわらず、多様な入り口を示してあげることこそが大切だと思います。
教師としては「英語が嫌い」という子の裏に何があるのかを見極め、必要に応じて授業の方法を工夫する必要があります。たとえば、個人ワーク中心の日を作ったり、友人同士で話すだけでもOKとするだけで、子どもが英語に対して抱えていた抵抗感がぐっと下がることもあります。そこから生まれた小さなきっかけが、やがて大きな興味につながるかもしれません。
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すべての子が同じ学び方で伸びるわけではない以上、「声が小さければダメ」「教室を歩き回ってワイワイ話すのが正義」といった固定観念を押しつけるのは危険です。嫌われているのは“やり方”だけかもしれない――そう考えるだけでも、子どもにとっての学習体験は大きく変わるのではないでしょうか。英語にはさまざまな魅力がありますから、何か一つでも「ふぉ〜〜〜!」と目を輝かせるポイントを見つけられれば、「英語なんて大嫌い」という気持ちは自然とほどけていくはずです。