2024年度から導入された英検1級の要約問題は、リーディング力とライティング力の統合力が問われる難関セクションです。長文読解の負担が減る一方で、的確に要点を抽出し、90～110語でまとめるスキルが求められます。
本マニュアルでは、最新の出題傾向と対策を詳しく解説し、最適な時間配分、使えるテンプレート、効果的なコツを完全網羅！本番で迷わず高得点を狙うための必須テクニックを徹底的に伝授します。このマニュアルを活用し、英検1級の要約問題を最短でマスターしましょう！
1. 要約問題の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入時期 | 2024年度第1回（6月実施）から新設 |
| 頻度 | 年3回（第1回・第2回・第3回） |
| 文章量 | 約300語程度 |
| 要約の語数指定 | 90～110語（英語） |
| 構成 | おおむね3段落構成：①現状・背景 → ②問題点・影響 → ③対策・展望 |
| トピックの傾向 | 環境問題・エネルギー・社会問題など多岐にわたる。SDGs関連が多い。 |
- 出題例（2024年度）
- 第1回（6月）：都市化と土地利用
- 第2回（10月）：自動車の普及と燃料消費
- 第3回（翌年1月）：違法取引と野生生物
「長文読解の問題数が減る一方で、ライティングの比重が増している」という傾向があり、リーディング能力とライティング能力を統合的に試される形式となっています。
2. 要約問題 攻略フロー
- 【読む前】指示文を確認
- 「要約の語数」「指定パラグラフ数」「パラグラフ構成のヒント」などをしっかり把握。
- 【読み込み】本文を精読
- パラグラフごとに「主張・テーマ」をメモする。
- 段落の論理構造（原因→結果→対策など）を掴む。
- 【要約案作成】要点抽出 & 重要ワードの抽象化
- 具体例や重複情報は省略。
- 「lakes and rivers」→「water sources」のように上位概念へ。
- 筆者の主張・結論を正確に捉える。
- 【執筆】パラグラフ構成を意識しながらまとめる
- 3パラグラフが基本。
- それぞれ「背景→問題点→解決策」という筋を崩さない。
- 【確認】語数・文法・論理のチェック
- 90～110語に収まっているか。
- 文法・スペルミスなし。
- 意味が通じるか、文のつながりは自然か。
3. 時間配分モデル
以下は、筆記全体の中で要約問題に割く例として想定した時間配分です。試験全体の制限時間や個人の得意分野により調整してください。
| ステップ | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1. 指示文＋本文精読 | 指定語数や段落数の確認 → 本文の主張・構成を把握 | 約 5 分 |
| 2. 要点メモ作成 | 各段落のキーワード・重要事項をまとめる | 約 3 分 |
| 3. 要約構成案作成 | パラグラフ構成（3段落目安）を考える | 約 2 分 |
| 4. 下書き執筆 | 実際に90～110語で書く（文量確認も並行） | 約 7 分 |
| 5. 推敲・修正 | 語数、文法、論理展開など最終チェック | 約 3 分 |
| 合計 | 約20分 |
ポイント: 長文読解やエッセイ問題との兼ね合いもあるため、20分前後が平均的な配分です。自身の得点戦略に応じて調整しましょう。
4. 要約の基本フォーマット
要約問題は「3パラグラフ構成」が最もオーソドックス。段落ごとの役割を下表にまとめます。
| 段落 | 役割 | 具体的な内容例 |
|---|---|---|
| 第1段落 | 導入・背景 | – 本文のテーマ、背景事情例：「都市化に伴う土地不足」 |
| 第2段落 | 問題点・影響 | – 問題の深刻さや要因例：「埋め立て地がもろい」「燃料消費の増大」 |
| 第3段落 | 対策・結論 | – 提示された解決策や未来への提言例：「廃棄物由来バイオ燃料」「政府の保護区設立」 |
注意: 要約では「結論」が非常に大事。本文が何を言いたいかを最終段落にまとめることで、読み手に明確なメッセージを伝えられます。
5. 定型文・使いやすいフレーズ集
要約は文字数が限られているため、簡潔かつ要点をまとめる表現が大切です。以下、よく使われる英語フレーズを整理しました。
5.1 導入フレーズ
- The passage discusses ～ (本文は～について論じている)
- According to the text, ～ (本文によれば～)
- It is argued that ～ (～だと主張されている)
5.2 問題点・影響を述べるフレーズ
- This situation leads to ～ (この状況は～をもたらす)
- One major concern is ～ (主な懸念事項は～)
- Such a trend has caused ～ (このような傾向は～を引き起こしている)
5.3 対策・提案を示すフレーズ
- To address this issue, ～ (この問題に対処するために～)
- A proposed solution is ～ (提案されている解決策は～)
- Government initiatives include ～ (政府の取り組みには～が含まれる)
5.4 結論・総括フレーズ
- In conclusion, ～ (結論として、～)
- Thus, ～ (したがって、～)
- Ultimately, ～ (最終的に、～)
Tip: これらのフレーズを使い回すだけでも文の形を整えやすくなります。
6. 要約を書くときのポイント
- 具体例の省略
- 本文中の例は要点を補足するだけのことが多い。個別の数字・地名・人名などは省き、より抽象的な表現にまとめる。
- 繰り返し情報の統合
- 同じ趣旨の文が複数段落で登場しても、一度まとめて言及するだけで十分。
- 上位概念への言い換え
- lakes and rivers → water sources
- cars and trucks → vehicles
- This strategy helps keep the word count down.
- 因果関係を意識
- 原因→結果→対策の順番を崩さずまとめると論理がわかりやすい。
- 語数を細かく確認
- 90～110語という範囲を守る。書きすぎたり短すぎると減点対象になる可能性が高い。
7. 実践例：フォーマットサンプル
サンプル本文
The global expansion of urban areas has led to serious overcrowding. Consequently, many governments have turned to land reclamation as a solution to accommodate growing populations and expanding infrastructure needs. Cities like Singapore, Hong Kong, and Dubai have successfully created new urban spaces through extensive land reclamation projects, allowing for the development of residential areas, commercial districts, and transportation networks where natural land was previously unavailable.
Despite these apparent successes, reclaimed land presents significant vulnerabilities that cannot be overlooked. These artificially created territories often face heightened risks from natural disasters, particularly earthquakes, tsunamis, and rising sea levels associated with climate change. The foundation of reclaimed land typically consists of loose materials that may be prone to liquefaction during seismic events. Additionally, strengthening these regions requires substantial financial investments, specialized engineering expertise, and ongoing maintenance programs. The economic burden of ensuring long-term stability raises important questions about the sustainability of such development approaches.
The environmental consequences of land reclamation present another critical dimension to this issue. Marine ecosystems suffer disruption when coastal areas are transformed into urban landscapes. Dredging operations destroy habitats for aquatic species, while altering natural coastlines can change current patterns and sediment distribution. To address these multifaceted challenges, advancements in engineering technologies must be coupled with stringent government regulations. Implementing building codes specifically designed for reclaimed areas can enhance structural resilience. Furthermore, comprehensive environmental impact assessments should precede any reclamation project, ensuring that ecological considerations are integrated into urban planning processes. By adopting a balanced approach that prioritizes both human needs and environmental protection, cities can continue to grow sustainably without irrevocably damaging fragile coastal ecosystems.
サンプル要約（90～110語）
[第1段落] The passage explains that rapid urban growth worldwide has resulted in overcrowding, prompting governments to consider land reclamation.
[第2段落] However, reclaimed land is often susceptible to natural disasters, and strengthening such regions requires extensive resources. This situation raises concerns about sustainability and long-term environmental impacts.
[第3段落] To address these challenges, improved engineering technologies and government regulations are proposed. By ensuring robust infrastructure and balanced ecological planning, cities can accommodate rising populations without severely disrupting coastal or fragile ecosystems.
- 語数（Word Count）: 91語
- 構成: 背景（1段落目） → 問題点（2段落目） → 解決策＆結論（3段落目）
チェックポイント
- 無駄な情報・具体例は削除。
- 指示語（such regions, these challengesなど）で繰り返しを簡潔化。
- 要約の中でも主張と結論が一貫している。
8. 過去問の傾向と対策まとめ
- トピックは多様かつSDGs関連が多い
- 都市化・環境保護・エネルギー問題など。背景知識があると要約がスムーズ。
- 3段落の論理展開が多用される
- 第1段落: 現状や背景
- 第2段落: 問題点、または弊害
- 第3段落: 解決策や今後の展望
- 固有名詞→一般名詞の言い換え
- 固有名詞に囚われず、要点を「抽象化」する力が必要。
- 重要ボキャブラリーの活用
- impede progress, mitigate negative consequences など、まとめやすい動詞を意識するとよい。
9. さらに得点を伸ばす！追加Tips
- 時事トピックへのアンテナ
- 環境、経済、テクノロジーなどの最新ニュースを英語で読んでおくと、話題が出たときに要点をまとめやすい。
- 過去問・模試の積極利用
- 実際に過去問や予想問題を解いて、90～110語内に収める練習を積む。
- 自作練習：パラグラフ再構成
- ニュース記事やエッセイを読み、3行程度に要約してみる。
- 段落の接続語を活用し、短い文字数で論理を保つトレーニング。
10. 仕上げに：チェックリスト
| チェック項目 | Yes / No |
|---|---|
| 1. 指定語数（90～110語）を厳守しているか？ | |
| 2. 導入→問題点→対策の論理構造が成立しているか？ | |
| 3. 具体例・重複情報を省略し、抽象化したか？ | |
| 4. スペルミスや文法エラーはないか？ | |
| 5. フレーズの繰り返しを最小限に抑え、読みやすい文章になっているか？ |
このチェックリストを要約提出前に使えば、抜け漏れを最小限にできます。
まとめ
英検1級の要約問題は、読解力 + 要点整理力 + 正確な英語表現が問われる重要パートです。
- 20分程度の時間配分で、段取りよく本番に臨む。
- 3パラグラフ構成を前提に、原因→結果→解決策の流れを押さえる。
- 具体例を削る・上位概念でまとめることで、限られた語数内に情報を凝縮。
- 定型文や頻出表現を覚えると、本番での構成が格段に楽になる。
本マニュアルを活用し、ぜひ英検1級ライティングセクションで高得点を狙ってください。合格を応援しています！
